雪布団

2013年1月第3週

今週の野菜セット

左から

寒い毎日が続きます。

先週、降り積もった雪も路上では一掃されましたが、除雪車が歩道に積み上げていった雪はそのままで、庭先に作られた雪だるまもほとんど崩れもせず残っています。子供たちは喜んでいるんでしょうけどね。

畑では野菜が真っ白い布団をかぶって休眠中。味噌汁に使うネギを取るにも、ラッセルしながら行かなければならないような状況です。これでは農家はたいへんです。でも、野菜の身になってみると、毎朝霜に痛めつけられるより、真綿のような雪をかぶっているほうが快適なのかもしれません。

思えば、今年の冬野菜たちは不運でした。残暑が長かったため種蒔きが遅れた上、十二月に入ったとたん、本格的な寒さに見舞われたものですから、十分に大きくなれないまま、凍りついてしまったのです。午前中はもちろん、午後の陽光が行き渡る三時前後にようやく収穫ができるようになりますが、陽が西に傾くころにはもう凍りはじめている。そんな状況でしたから、今回の雪はありがたかったにちがいありません。

が、今週もまた雪が上積みされるようなら、そんな悠長なことはいってられません。雪の予報が雨に変わってくれることを祈っています。

当然、山の中も雪に閉ざされます。山頂に至る自動車道路は通行止めになっているので、そこをイノシシが利用しているんでしょう。チューリップ型の蹄の跡が点々と、それも大量に残されています。・-・-という面白い形を残して行くのは野ウサギで、犬の足跡とおぼしきものはタヌキ。ほんものの犬の足跡はオオカミかと思うほどの大きさになり、それと平行して続く大男の足跡はほかならぬわたしのものです。

地面が雪で覆われると、野鳥が食べものを採れなくなってしまうため、庭先にテーブルを持ち出して、パンくずやら残りご飯、それに市販のハトの餌をたっぷり載せておくと、夕刻には完売。商売繁盛と家人はうれしそうですが、窓際の障子を閉めておかないと客が寄りつかないので、啄んでいる姿が見られないのが心残りなんだとか。障子の隙間が数センチ開いているだけでも、野鳥たちは警戒して降りてこないそうです。

カラスたちも物欲しげにこちらを見下ろしているので、スーパーで安い油揚げを仕入れてきます。雪がある間だけよ、とカラスにはいっていますが、油揚げを物置小屋の上に放り投げると、とたんにトンビが上空を舞いはじめます。トンビに油揚げというのはほんとうなんですね。

そのトンビが屋根の上に降り立とうとすると、カラスたちの総攻撃に遭う。トンビのほうが身体は大きいのですが、多勢にはかなわないのでしょう。ピヨーンという情けない声を出して逃げて行くんです。その姿があんまり哀れなものだから、カラスの寄りつかない母屋のほうに油揚げを置いてやることに・・・。トンビにも、雪の間だけだからね、といってるんですけど、このうえまた雪が降ったら、いくら安い油揚げとはいえ、量が量なので財布のほうが根を上げそうです。

山のように油揚げを入れたカゴを手に、スーパーのレジに並んでいるところを近所の人に見られるのも気詰まりですしね。その油揚げ、どうするの、こないだも買ってたけど・・・なんていわれると、トンビやカラスを持ち出すわけにもいかず、しどろもどろになってしまう。どうも最近、キツネが憑いたみたいでして、ともいえませんしね。

そんなわけで雪国の人には申しわけないけど、雪はもうたくさん。おなじように雪が降っても、町中と山の中とでは積もりかたがちがうので、出勤するだけでもひと仕事。気温がゆるんで雨になってほしいものです。

今週の野菜とレシピ

後蒔きのほうれん草が大きくなれないので、好子さんの畑に残っていた分、大きくなりすぎて出荷を諦めていた分が入ります。これも雪の中でまどろんでいるところを収穫されるわけですね。

先週に引き続き、青山さんのおたふく大根が入ります。小ぶりの大根ですが、青首大根より寒さに強く、地面から出ている肩の部分が傷みにくいのです。それでも尋常ではない低温続きで、一部、傷んでいることがあるかもしれませんが、その節はご容赦ください。

今週のメインはニラ。これは身体があたたまりますから、卵とじ、おひたしなどでお召しあがりください。おひたしにするときは、3センチ前後に包丁を入れたものを軽く湯がき、醤油と胡麻油、鰹節で和え、ナムル風に・・・。ニラの甘さがひきたちます。

風邪の予防にはネギ味噌がおすすめ。作り方はいたって簡単で、小口切りにしたネギを鰹節といっしょに味噌で和えるだけ。ご飯にのせるとおいしいですよ。風邪をひいてしまった方は、お休み前に足湯で全身の血行をよくしてから、これを熱湯で溶いたものを飲むと、びっくりするぐらい汗をかき、翌日にはすっきりさっぱり生まれ変わったようになります。枕元にタオルと着替えを用意してお休みくださいね。