堆肥作り

2013年12月第3週

今週の野菜セット

左から

今年も残すところわずかとなりました。あれよあれよという間に、この一年も終わってしまいそうです。

年々、時間が早くなって行くように感じられるのは、年のせいかもしれませんが、そればかりでもないようです。時間というのは、過去から未来へ向けて一直線に伸びているものではなく、これもまた宇宙の法則にしたがって渦を巻いているんだそうです。しかもその螺旋は、中心から外に向かって広がっているのではなく、外側からはじまっているというのですから、無限ではないんですね。

はじめはのうちはゆったりと、一万年以上かけて一周していたものが、時代が下るにつれそれが千年になり、近世あたりで百年ぐらいになったと思ったら、それもどんどん縮まっているようです。十年ひと昔、なんて言葉が生まれましたが、それもひと昔前の話。今は十年を待たずして、メカも技術もどんどん変わっていきますものね。

そりゃあ、時間の経過もあわただしくなるわけです。しかし、これを進化と呼んでいいのかどうか。十年一日のごとき益子GEFなど、時代遅れといわれそうですが、当方としては微力とはいえ、ブレーキの役割を担っているつもり。

どんなに新しい技術を使っても、植物の生育状況は変わらないわけですから、それとおなじで人間にも、生きやすい時間の流れかたというのがあると思うのです。

そんなわけで年の瀬にあくせくするのは止め、新年も十年一日のごとくでありたいと願っています、隔週で野菜をお送りしている方は、今回が今年最後の便となります。この一年もありがとうございました。

主婦なんぞをやっていると、この時期、やることは山ほどあるのですが、夜が長いものですから、家の中のことは毎日すこしずつ片付けることにして、日のあるうちはのんびりと裏山の落ち葉攫い。時間の流れに竿を差すつもりで堆肥作りをしています。

おかげさまで裏山の落ち葉からも放射性物質が検出されなくなり、安心して堆肥が作れるようになりました。念のため、地面ちかくでとろけかかっている古い落ち葉も検査に出しましたが、こちらも不検出。これはちょっと意外でしたが、一昨年には20ベクレルちかくあったのですから、雨によって土中に入ってしまったのかもしれません。

今は地表よりも、地中のほうが汚染されているともいいますので、念のため山土と畑の土を地表から十センチ以下の土壌も調べてみましたが、こちらも検出されなかったんですね。ということは、落ち葉が発酵するときに出てきた放線菌か、もとからあった土壌菌によって分解されたことになるのではないでしょうか。正確には、菌から放出される化学物質によって、放射性物質が変質したことになるんでしょう。

縁の下の力持ちとはこういうことをいうのかもしれません。おかげで施肥に対する考えかたも変わりました。これまで肥料というと、野菜の栄養分という捉えかたしかしていなかったのですが、その多くは土壌菌の餌になっているのではないか、と思うようになったのです。もしかしたら、野菜を育てているのは肥料そのものではなく、菌のほうだったのかもしれませんしね。

そういう循環を阻害しているのが化学肥料であり、さまざまな化学薬品なのだと思います。これまで無農薬野菜にこだわってきて、ときとして、それがほんとうにいいことなんだろうか、と思うこともあったのですが、今回の一件でそれが払拭されました。自信をもって、これからもスローな野菜作りにはげみたいと思います。

来年もどうかよろしくお願いします。

今週の野菜とレシピ

ひさびさに北海道は旭川、横畠さんのじゃが芋が入ります。ひと足お先に味見をさせていただきましたが、二年ぶりのじゃが芋なので感慨もひとしお。一度は脳梗塞で倒れた横畠さんも元気になられ、今は息子さんが中心になっているとのことです。

青山さんのブロッコリーは、急激な気温の低下で生育が止まっているとのこと。わが家のブロッコリーも五百円玉サイズになったきり、大きくなる気配がありません。年々、夏の気温が高くなるのに対して、冬の気温も厳しさを増してゆくようです。露地栽培の冬野菜ほどおいしいものはないのですが、それがむずかしくなっているのかもしれません。

寒いときにはあたたかいお鍋が人気ですが、あたたかい部屋でいただく冬野菜のサラダというのもおいしいものです。スライスしたりんごとほうれん草のサラダが絶品。フレンチドレッシングに醤油を少々たらしてどうぞ。りんごと春菊という組み合わせもわが家では人気があります。

ぶつ切りにした葱をさっと湯がき、それを熱いうちに上記のドレッシングに漬けておくとホワイトアスパラガスより甘みがあります。作り置きができるので、クリスマス料理のつけ合わせにもご利用いただけます。