緑色の部屋

2013年7月第2週

今週の野菜セット

左から

週末から青空が広がって、急に気温が高くなりました。とうとう雨らしい雨もないまま、梅雨は明けてしまったようです。

梅雨空はずっと続いていましたが、湿度が高いばかりで、雨のほうはさっぱり。梅雨明けにつきものの雷雨も、いよいよ来たかと思いきや、三十分足らずで修了。ふたたび青空が広がるというありさまでした。

降るところには徹底的に降るけれど、それ以外のところは降らない。年寄りにいわせると、人間が利便性に走りすぎるので、天のほうでも手を抜くようになり、これまでまんべんなく柄杓で撒いていた水を、ええい面倒とばかり、一カ所にバケツのままぶちまけてしまうようになったのだとか。

なるほど、そういわれればそうかもしれません。だとしたら、ぜひとも散水ホースを天上にプレゼントしたいもの。こんな便利なもんもありまっせ、とかいってね。

そういえば、照る照る坊主というのはあるけれど、雨雨坊主は聞いたことがありません。でも、これだけ水不足が深刻になってくると、照る照る坊主よりこっちのほうが必要になってきそうです。白い布や紙を黒に替えて、作ってみるとしましょうか。

今どきの子供は照る照る坊主など、作らないのかもしれませんが、消滅したかと思いきや、意外なところで活躍しているんだとか。天体観測所がそうで、世界中どこでも、日本人スタッフのいるところにはかならずそれがぶら下がっているそうです。科学の最先端を行く現場で、そんな神頼みは場違いみたいですが、どんなに優れた望遠鏡でも、夜空に雲がかかっていてはアウト。最後は神頼みしかないんでしょうね。

これほど人力の限界を端的に知らしめるものはないかもしれません。大がかりなダムなど造っても、雨がなければなんの役に立たないのと同様、結局は天任せで、のみならず生活が便利になればなるほど、逆に基盤は脆くなる。雨がなければ枯渇するけれど、降りすぎるとそんな基盤が流されてしまうんですね。物質文明というけれど、正確には虚構文明というべきなのかもしれません。

そんな空疎な文明だからこそ、逆に神頼み、天頼みが強くなるのかも。雨雨坊主が霊験あらたかでありますように・・・。

暑くなりましたねえ。このあたりの暑さでこんなことをいったら、罰があたるかもしれませんが、身体が慣れていないだけに、梅雨明けの暑さというのは格別です。

炎天下、畑仕事の手を休めて家に入ると、室内がぼやーっと緑色に見えるものです。補色作用のせいでそうなるのだそうですが、これを経験するたびに思い出すのがモネの「緑色の部屋」という作品です。なんの変哲もない無人の室内。その壁が緑色というだけで、どうしてそんな絵が賞賛されるのか、自分でそれを経験するまではわからなかったけど、このごろは夏になるたび、思い出されます。

とくにモネが好きというのではないんですけどね。そういえばモネも庭仕事の好きな人だったので、何度もこの不思議な現象を経験していたのでしょう。室内が緑色に見えるのはほんの数分で、やがて目が慣れてくるとともに日常がもどってくるのですが、その数分の神秘が庭仕事、畑仕事の労苦からわたしたちを解放するのかもしれません。

なんの変哲もない絵と思われたものが、じつは宗教画も足元に及ばないような法悦を表現していたというわけです。ありふれたものの中にこそ、神は宿るのかもしれません。

そんな感動の数分が過ぎると、そそくさとお茶漬けなどをかきこんで、また畑仕事にもどるんですけどね。でも、おなじ炎天下の仕事でも、それを経験する前と後とでは、身体にかかる負担が微妙にちがってくるから不思議です。

今週の野菜とレシピ

夏野菜が出てきましたが、残念ながらまだ収穫量が限られています。そんなわけで、今週は苦しい選択を迫られました。

茄子は好子さんの長茄子と青山さんの小ぶりの茄子が入ります。用途に合わせて使い分けてください。

きゅうりも青山さんが塩漬けしたものを合わせました。食べる直前に水に入れ、軽く塩抜きしてお召しあがりください。酢と水を半々にして、粒胡椒やデイルシード、鷹の爪といっしょに漬けるとピクルスにもなります。

オクラとモロヘイアも量が少ないので、どちらか一方になりますが、来週からは両方とも入ります。枝豆やミニトマトも来週には出てくると思います。