スズメバチその2

2013年10月第3週

今週の野菜セット

左から

台風24号の影響で、このあたりにも夏の陽気がもどって来ました。週末になって、ようやく秋らしい気候になりましたが、26号が北上してくれば、また蒸し暑くなるんでしょうか。

いったん涼しくなった後で暑さがぶり返したものだから、勘違いをした桜があちこちで開花しているようです。気温センサーの誤作動というより、センサーが精巧すぎるのが災いしたんでしょうが、思わぬところでスウィッチが入ってしまった。桜の木が疲弊しなければいいんですけどね。

気候の番狂わせで、わたしたちの身体もよけいなストレスを抱えているにちがいありません。花を咲かせるような風流ならいいけど、とかく人の不調というのは見苦しいものです。自然界に恥をさらさないためにも、身体をいたわってくださいね。

二週にわたってモミガラ燻炭を作り、それが畑を四分の一ほどを覆うようになり、さあ、これから肥料を入れて・・・というときに、台風24号の余波が吹き荒れたものだから、ほとんど飛ばされてしまい、脱力しました。モミガラの炭なんて軽いので、ちょっとの風でも飛散するのです。

もうがっかり。でもまあ、周囲の山の中にばらまかれたわけだから、それはそれで自然界に寄与したことになるのかも。無理矢理、そう考えることにして、懲りずに一から出直しです。もちろん、今度は物置小屋の入り口近くに陣取っているスズメバチを刺激しないようにね。

スズメバチに刺されて大丈夫?というお電話もありましたが、これが申しわけないぐらい大丈夫でして、痛みは半日ぐらい、痒みも丸一日で消えてしまいました。アブに刺されるほうがいつまでも痒みが残って、タチがわるいくらいです。アリに刺されようものなら、チクチクといつまでも痛みと痒みが残りますしね。

もっとも大スズメバチではなく、ひとまわり小さい黄色スズメバチだったというのもあるでしょうが、それにしても世間の人は過剰反応しているみたいです。スズメバチに何度か刺されると死ぬなんていいますが、それで死にいたるような人はミツバチや花アブでも危険な状態になる。べつにスズメバチだけが危険というわけではないのです。

むしろこの夏は、スズメバチが巣を作ってくれたおかげでアブが寄りつかず、安心して野良仕事ができたぐらいです。スズメバチに刺されるのはアクシデントですが、吸血が目的のアブは確信犯。蚊やブヨとおなじようにしつこくつきまといますからね。

それともうひとつ、かれらがいてくれるとイチジクや柿といった果実類が虫食いにならないのです。カマキリが畑の戦士なら、スズメバチは裏庭の保安官といったところでしょうか。感謝こそすれ、けっして敵視する相手ではありません。「おそ松くん」に登場するおまわりさんみたいに、すぐにピストルをぶっ放す傾向はありますが、それとて、非があるのはこちらのほうですからね。

思い当たるふしもないのに、突然攻撃される。一見、こちらが被害者みたいだけど、よくよく観察してみると、状況判断にミスがあったことがわかります。わたしたちが無自覚に犯しがちな、自然界への侵犯行為を戒められているかのようです。

今度は建てつけのわるいドアの開け閉めにも注意して、慎重に事を運んだせいか、スズメバチは姿も見せません。いなくなったのではないか、と思って巣のほうを見上げると、周辺に張りついた蜂が十数匹、こちらの動きを監視しているところでした。この緊張感が、モミガラを小屋から運び出すという凡庸な仕事を、張り合いのあるものにしてくれる。

魔法の杖がふられたとたん、あたりがキラキラと輝きはじめる。そんな感じといったらいいでしょうか。来年も、そんな魔法使いに来てほしいものだと思いました。

今週の野菜とレシピ

二年ぶりに馬田さんの椎茸が入りました。うれしいですね。地震の後、馬田さんの設備が半壊したと聞いたとき、手元にあった椎茸をすべてスライスして冷凍し、それをすこしづつ使っていましたが、椎茸が復活すると聞いて、かけらほど残っていた分を先週、使い切りました。二年ちかくも冷凍庫に入っていたものですから、霜だらけでしたけど、それでも香りは濃厚で、さすがだなあと思ったものです。

小松菜でも京菜でもいいですから、青菜をスライスした椎茸といっしょに水から煮ると、塩を入れただけでおいしいスープになります。出汁を使わない分、オイスターソースを少量加えると味が引き締まります。

金時生姜はきれいに水洗いしてから摺りおろし、同量の水と砂糖を加えてジャムにしておきます。ちょっと風邪っぽいかな、と思ったらそれをお湯で割ったり、紅茶に入れて飲んで寝るとと、ウィルス性のものでなければひと晩でよくなります。長時間火にかける必要はなく、煮立ったらもうできあがりですから、こんなに楽な冬支度はありません。

薬用でなくても、生姜の香りがいちばんいいときに保存しておくと、たとえば豚の生姜焼きなどを作るとき、仕上げにこのジャムを使うと肉が水っぽくなりません。大根のきんぴらなどにこれを加えてもおいしいですよ。