空梅雨続く

2013年6月第2週

今週の野菜セット

左から

雨がほとんど降らないため、用水路には水がなく、農家が水遣りをしたくてもできない状況が続いています。早苗が黄色くなりかけている田圃もあって、今週もまた晴天が続くようなら、稲も夏野菜も大きな打撃を被りかねません。大きな河川も流れが小さくなっています。

空梅雨を喜んでいるのは、農道の両側を金色に染めている麦ぐらいでしょうか。麦秋は梅雨と重なるため、収穫には苦労がともなうものですが、盛んにコンバインが動きまわっています。今はプラチナブロンドの大麦が収穫時期を迎え、それよりすこし遅れて赤みがかったブロンドの小麦畑に機械が入ります。

麦畑の上をピッピッピと規則正しく鳴きながら飛ぶのがムギマキで、甲高い声でさえずっているのがヒバリ。小さな鳥なので姿はなかなか見ることができませんが、どちらも声がしただけで仕合わせな気分になるものです。豊穣を約束されているような気がするのですが、こんな水不足でも大丈夫なんでしょうか。アメフラシという鳥でもいればなあ、と思うことしきりです。

先日、車を洗いました。これはわたし流の雨乞いでして、それ以外のときは放ったらかしになっているんですけどね。滅多とやらないことをすると雨が降るといいますけど、雨水受けの貴重な水を使って車を洗うと、ほんとうに雨が降ってくれるんです。もともとは夏の旱魃対策だったのですが、梅雨時にやることが多くなりました。

この呼び水で夕刻には晴天が一変し、期待どおり大粒の雨が降り出しました。まとまった雨になるには雲の色が薄いと思っていたら、案の定、雨脚はすぐに弱まって、それも一時間ほどで止んでしまってがっかり。困ったものです。ひと雨ほしいといったレベルではなく、ダムを満たすほどの雨がほしいのですから、わたしひとりがこんなことをしていても追っつかないのかもしれません。

今週はみなさんもふだんとはちがうことをして、雨乞いに参加していただけるとありがたいのですが・・・。このままでは、都会でも水不足になること必定。真夏にシャワーも浴びられないのでは困りますものね。

雨が降らないと、雑草も背丈を伸ばせず、発芽もできないので畑に草の姿はありません。草取りの必要がないので、まあ楽といえば楽なんですけど、野菜も育たないわけですから元も子もありません。

水たまりもないので、夕刻に蚊が出てこないのはいいのですが、雨によって淘汰される虫の卵がなくなるため、畑の虫が一気に増えそうな気配があります。植物が弱っているところに虫が大量発生するのですから、目もあてられません。雨の働きはただ単に水を供給するだけではないのですね。

しかし今のところはまだ、路上で干からびたミミズを見かけることはありません。これが累々と錆び釘のように転がるようになると、事は深刻。ミミズが出てくるのは、地中の水分がすっかりなくなったということで、耐えきれずに出てきて干からびてしまうんです。バカだなあ、と思われるかもしれませんが、地中にとどまっても水分がなければ悶死するしかないんですよね。ミミズの不幸はわたしたちの生活にも直結しているわけです。

もちろん菌類も、それが良性であれ悪性であれ、そうなると地中で繁殖できなくなるので、土からも生命が奪われることになる。この先一週間も雨がなければ、そういう状況になりかねません。

田圃の水が乏しいせいか、このところ夜になってもカエルの声が聞こえてきません。ほんとうなら今ごろ、うるさいぐらいに鳴いてるはずなんですけどね。ミミズやカエルの生死が人の生活にどう関わるか、そういうことをわたしたちが熟知していれば、ここまでの気候変動はなかったかもしれません。今ごろいってもしかたがないのかもしれませんけどね。

今週の野菜とレシピ

早々とズッキーニが出てきました。ズッキーニはカボチャの仲間ですから、乾燥には強いみたいで、夏野菜の中で唯一好調なのだとか。ふつうに梅雨を迎えると、半分ちかくが病気で使えなくなってしまうという変わり種です。

輪切りにしたズッキーニ、インゲン、ニンジンを素揚げして、熱いうちに麺つゆに浸します。冷めるころには味がしみていますから、お好みで一味唐辛子をふってどうぞ。残りは冷蔵庫で冷たくしてもおいしいですよ。

ズッキーニとは対照的に不調なのがきゅうりです。水不足のため、かたくなっていたり、中にはスが入っているものがあるかもしれませんが、ご了承ください。

レタスは生食でもよし、しゃりしゃりした食感を生かした炒めものでもよし。生食ならもみ海苔をたっぷりのせた和風サラダがおすすめです。フレンチドレッシングに醤油を加えただけで和風になりますから、わざわざ和風ドレッシングなどを買ってくる必要はありません。

間引きニンジンの葉はちりめんじゃこといっしょに炒めるか、かき揚げにしてどうぞ。