雪山の訪問者

2013年1月第4週

今週の野菜セット

左から

先週の雪の予報が外れてくれたおかげで、田畑に残っていた雪もほとんど消えました。残っているのは陽のあたらないところだけ。一度雪が積もると、春まで解けないようなところがあって、そこは日だまりならぬ寒だまり。その寒だまりのわきを、雪解け水がちょろちょろと音を立てて流れています。

たっぷりの雪で潤った畑には、ハコベがちいさな葉をつけた茎を伸ばしています。いつの間にかポピーも芽をだして、ちょっとした群生になっている。どちらも春になれば邪魔になるぐらい大きくなってしまうのですが、あんまり気持ちよさそうなので、引っこ抜くのがためらわれるぐらい。ヒヨドリたちも野菜ではなく、こっちのほうを啄んでくれるといいんですけどね。

今年もヒヨドリたちの総攻撃がはじまりました。農家はそれを見越して、早くから防鳥ネットをかけていますが、わたしは手遅れだったらしく、春キャベツがみんな芯を残して食べつくされてしまいました。畑に残っているのはネギと雑草だけという有様。早く種蒔きの季節を迎えたいものです。

あれだけ交通網を混乱させ、農家を泣かせた雪も、エキサイテイングなイベントと捉える人たちがいるようです。それも子供ではなく、いい年をした大人たちですよ。

爆弾低気圧が雪を降らせた先週の日曜日、近所の男性に誘われて山に入ったのですが、それが雨巻山という栃木の百名山のひとつで、益子町の観光名所にもなっているところ。まさかこんなときに山に入るバカはいないだろうと思っていたら、登山口の駐車場は満杯で大型バスも三台駐まっていたのです。そのうち一台は東京ナンバー。もう一台は所沢からの団体でした。みんな、雪が降った、それ山へ・・・と駆けつけた連中です。

わたしたちは犬を連れていたので、混み合っていそうな雨巻山を避け、足尾山を経由して御嶽山という小さいながらも急峻な岩山に登ったのですが、そこでもけっこうな人に出会いました。その日、雨巻山には二百人以上の人が登っていたといいます。

パソコンをお持ちの方は、「デイダラボッチの山日記」という知り合いのブログを検索していただけると、その情景が見られます。

雨巻山というのは、雨雲をまとうところからそういう名前がついたようですが、雨だけでなく雪も大量に降らせるようです。御嶽山の山頂に立つと雨巻山の両側、わたしたちが住んでいる地区と、反対側の深沢というところに雪が集中しているのがわかります。昔の人は的確な命名をするものだなあ、と感心しながら帰ってきましたが、雪というのがこんなにも人をハイテンションにするものだったとは・・・。こっちのほうにも感心しました。雪国に住む人にはうんざりなんでしょうけどね。

そんなことを考えながら裏山に入ってみたら、こちらにも物好きの痕跡がありました。いつの間に侵入したのやら、寒だまりの急斜面にバイクのタイヤ跡。転んだような痕跡もないので、無事に走り抜けることができたんでしょうが、不埒なやつです。動物たちの痕跡はほほえましいけれど、人間が残していったものにはなにかイヤな臭いが残る。だれのものでもない国有林ですが、裏庭を荒らされたような気がしたものです。

そういえば十年ぐらい前の大雪のときも、自動車道路をスノーモービルで駆け回った大人たちがいて、近所の人をびっくりさせたものでした。車で乗りつけてゴミを捨てていく人たちも迷惑ですが、こういう酔狂な人たちもかなり迷惑。それにくらべたら、遠くから山登りに来る人たちはマナーも心得ていますからね。老いも若きも、すがすがしい顔をした人たちでした。

今週の野菜とレシピ

色合いのうつくしい青山さんのカブ。これはスライスして、葉の若い部分といっしょに塩漬けにするのがおすすめ。

漬け物に上手下手はありません。プロとアマの差は重しのちがいだけですから、できるだけ押しを強くするのがコツ。わたしは漬け物用容器に落としぶたをして、その上にきれいに洗った煉瓦を縦に二本、さらにその上に横に煉瓦を横にしてふたつ載せますが、水を入れたペットボトルや一升瓶でも代用できます。そうして三日も置けば、素人でもおいしい漬け物が作れます。

ニラ鍋

今週はニラが3束入りますので、これでニラ鍋というのはどうでしょう。ニラのほかに用意するのは、しゃぶしゃぶ用の豚バラの薄切りと豆腐です。まず鍋に水を張って、そこに出汁昆布と煮干しか鰹節を入れ、半日ぐらい置いてください。朝、それを用意したら夜、鍋を火にかけて煮立ってきたら昆布や煮干しを引き上げて、豚肉を入れ、醤油と味醂、味醂がなければ酒と砂糖少々で調味。豆腐を加え、十分に火が通ったところで3センチ前後に切ったニラを入れ、煮立ったらすぐに火から下ろします。最後に塩をひとつまみ入れると、味がぐんとよくなります。

あつあつを一味唐辛子といっしょにどうぞ。肉がダメという方は油揚げで代用してください。身体が芯からあたたまります。残った汁にうどんを入れると、これがまたおいしいので、ぜひお試しください。