カラスのいる風景

2013年5月第3週

今週の野菜セット

左から

あいかわらず暑くなったかと思うと、雨が降って肌寒くなる。そんな天気が続いています。また、日中の気温が上がっても、夕刻には風が冷たくなりますから、初夏というより早春が長引いている感じがします。

この調子では、急に真夏がやって来るのかもしれません。そして今度は梅雨寒に遭い、梅雨が明けると旱魃に見舞われる。そんなイヤーな予感がします。春が一筋縄ではゆかないのですから、夏もきっとそう。人にも植物にもストレスが重圧になりそうですね。

田植えの終わった田圃では、カラスたちが早苗の間を歩きまわり、カエルを捕食しています。越冬組のサギの若鳥も、すこし距離を置いたところで捕食中。もうすこし経って、サギの親鳥たちが渡ってくると、まるで餌場を譲るかのように、カラスは田圃から姿を消してしまいます。

カラスは餌をおなじくする者、たとえばトンビなどに対しては攻撃的なのに、なぜかサギに対しては紳士的で、越冬中の幼鳥たちが追い払われることもありません。カラスのほうが距離を置いている感じがするぐらい。サギとカラスの間には密約が交わされてでもいるんでしょうか。

この両者のつかず離れずの共存関係を見ていると、どうしてこれが人間同士の間ではむずかしいんだろう、と考えてしまいます。異文化を受け入れることができないというのは、それだけ人間が未熟だからか、あるいは経済などという魔物が諸悪の根源なのか・・・。ともあれ、円相場や株価の動きに一喜一憂しているようでは、わたしたちが今、急坂を転げ落ちる寸前に立たされていることが見えなくなってしまうんですね。

粉飾された退廃の中から見ると、田圃の中にいるカラスとサギの姿がことさら優美に見えるものです。それを一幅の絵にして「神々しい平凡」とでも名づけましょうか。平穏、平和、平素の暮らしと「平」のつくものすべてに「神々しい」という形容詞が似合うようになったということは、時代が不穏、不和、不安な暮らしに向かっているせいかもしれません。

「平」のつくものの中に長くいると退屈するのも事実です。でも、それを失ったとき、もっともたいせつなものとして思い出されるのも「平」なんですね。「平」がなければ、野菜も米も作れない。お金ではけっして買えないものが「平」ともうひとつ、こっぱずかしくてなかなか口にはしづらい「愛」。でも、この「愛」こそが「平」を失った世界を救済する唯一の手段です。愛国なんかどうでもいいから、平々凡々の事象をこそ愛したいものです。

連休中、益子町は陶器市で賑わいました。今年は例年より盛況だったみたいです。そして翌週の日曜日には恒例の道路整備。これは町民全員が参加することになっています。益子町民の何倍もの人が訪れるわけですから、落とされるゴミも半端ではないのですね。

道路脇に捨てられた空き缶やタバコの吸い殻、プラステイックの弁当箱などを拾いながら、観光地ではどこでもこういうことをやっているんだろうな。益子は春と秋の一時期だからいいけれど、年中人が訪れるようなところはたいへんだろうな、と思いました。とくに世界遺産などに登録されたところでは、処理能力を超えているといいますものね。

今回、富士山が新たに加わることになったそうですが、世界遺産という概念がよくわからないし、世界遺産になったから行ってみようと思う人の気持ちもよくわからない。世界遺産というのは環境破壊以外のなにものでもないと思うんですけどね。

人はお金も落として行くかわり、ゴミも落として行くものです。お行儀よくゴミ箱に捨てたとしても、それはおなじで、処理をするのは地方の自治体。経済がまわるというのは、廃棄物を増やすことなんだな、とあらためて思ったしだいです。

今週の野菜とレシピ

今週はフキが入りました。先日の霜で大半が黒くなってしまいましたが、木陰にあるところだけは無事だったみたいです。

フキの茎は鍋におさまる長さに切り、さっと湯がいてから皮を剥いてください。お湯は捨てないで、残りの葉を入れ、こちらのほうは湯がく必要はありませんから、しんなりしたら取り出して水気を切っておきます。

皮を剥いた茎のほうは3~4センチにカットして、濃いめの出汁で煮ふくめるか、きんぴらで・・・。葉っぱのほうは細かく切って、水気をよく絞り、同量の酒と醤油で佃煮にしてください。汁気がなくなってきたら、火を強めてかき混ぜながら水分を飛ばし、最後に鰹節をたっぷり加えたらできあがり。

春大根はサラダ向き。千六本に切って、納豆で和え、仕上がりにもみ海苔を載せてもおいしいですよ。大根の量によって、サラダにもご飯のおかずにもなります。

おかひじきはさっと湯がいて辛子醤油で和えるか、マヨネーズでどうぞ。炒めるという手もあります。豚バラ肉100グラムと、春雨30グラムを用意。春雨はお湯でもどして水気を切ってから包丁を入れ、豚バラは1センチぐらいに刻んでから油炒めして、塩と一味唐辛子、オイスターソースをからめてさらにかりっとするまで炒めます。食べやすい長さに包丁を入れたおかひじきを加え、しんなりしてきたら春雨も加えてよく炒め、最後に醤油で味を調整します。

この要領で焼きそばにしてもおいしいですよ。

京菜小松菜は大根葉同様、おひたしかお吸い物でお召し上がりください。