野生との攻防

2013年8月第2週

今週の野菜セット

左から

猛々しい暑さが続きます。人も犬猫も息をするのがやっと、という感じなのに、植物は灼けるような暑さを楽しんででもいるかのよう・・・。この夏は水分の補給も十分なので、ものすごい勢いで繁茂しています。

草木の勢いを見ていると、地球の主は植物でわたしたちを含め、動物なんて寄生虫みたいなものかもしれない、という気がしてきます。植物王国をすこしずつ切り開きながら繁栄を築いてきたのはいいけれど、やりすぎたのかもしれません。これだけ暑さが過酷になると、わたしたちは青息吐息。そのうち植物しか生息できない世界になって、振り出しにもどるのかもしれません。

植物王国の逆襲。今、わが家の裏手はそんな感じになっています。

先週、アライグマの話をしましたが、わたしはまだ実物にお目にかかったわけではありません。が、目撃情報は増える一方で、ちょっと人が集まると、わたしも見た、隣の人が見た、という話題でもちきり。

それと同時に、これまで家庭菜園を荒らしまわっていたハクビシンの姿が消えた、とこれもよく話題に上ります。どうしたんだべ、去年まであんなにいたのにおかしいなあ・・・。ほっとする反面、気にもかかるようです。ハクビシンの野郎、と口ではいいながら、菜園の客人が消えたのを寂しがっているようにも聞こえるんですね。

アライグマの登場とハクビシンの消滅には因果関係があるみたいで、これも近所の害獣博士に聞いた話ですが、アライグマとハクビシンは食べものでも、住居でも競合しているんだとか。大きさは似たり寄ったりですが、アライグマは気が荒いので、これが出てくるとハクビシンはすごすごとテリトリーを譲ってしまうんだそうです。

じゃあ、うちの天井裏でガタゴトやってるのは、ハクビシンじゃなくてアライグマなのかい。まいったなあ、という人もけっこういました。ハクビシンも困り者ですが、アライグマは凶暴性があるというのが通説ですからね。なかなかラスカルのように愛嬌のある個体にはお目にかかれないそうです。

一難去ってまた一難。しかも難易度はだんだん高くなるみたいです。

先週はクマの目撃情報もありました。さっそく害獣博士が出かけたところ、畑の荒らされかたがイノシシとおなじだったので、これは勘違いということで一件落着しましたが、博士がいうにはこのあたりの山々は八溝山系なので、十年後には実際にクマが出てきてもおかしくないそうです。その前に日光あたりからサルやシカがぞろぞろ南下してくるそうで、サルの集団はもう隣の茂木町まで来ているという話でした。

十年後にはアライグマなんてかわいいもんだったね、と話し合っているのかもしれません。イノシシだって、人に危害を加えるわけじゃなし・・・。電柵や光り物で対処できるうちはよかった、なんてことになるんでしょうか。

害獣博士ことTさんは、宇都宮大学の野生動物に関する特別講座を修了して資格を取ったそうですが、受講中もっとも印象に残ったのが過疎化の問題だといいます。今後、この国の人口はどんどん少なくなりますが、都市部の人口はそれほど大きく変わらなく、そのかわり山村の過疎化が加速されるだろうというのです。いわれてみれば、すでにその傾向は見られますものね。

そうなると開発によって居住地を奪われてきた動物たちが、活動の場を広げると同時にどっと数を増やすことになります。それ自体は自然の経緯なのですが、いったん自然界が破壊されたところでそういうことが起こるとどうなるか。大型肉食動物がいなくなってしまったところで、イノシシやシカのような草食動物が爆発的に増えると、ふたたび手に入れた自然をみずから破壊してしまうことになる。そうなると自分で自分の首を絞めることになってしまうんですね。

当然、人とのせめぎ合いも苛烈になってくるでしょう。そうなったら、都市部に集中し続ける人たちの生命はどうやって維持されるのか。食糧はいったいどこから供給されるのか。すぐそこまで迫っている問題だけに、気にかかります。中心部を空き地にした城塞都市でも造るしかないのかもしれませんね。

今週の野菜とレシピ

こう暑いと食事を用意するのも食べるのもいやになりますが、そうもいってはいられません。夏バテしないためにも、オクラモロヘイアのぬるぬるパワーを上手に利用してください。

ゴーヤも続くともてあますかもしれません。そんなときには玉葱といっしょに甘酢に漬けてみてください。ゴーヤは縦に半分にして、種とワタを除いてできるだけ薄くスライスし、塩でもんでおきます。玉葱もスライスして、塩もみしたゴーヤといっしょに冷水にさらしてから水を切り、砂糖をすこし多めにした甘酢に漬けて冷蔵庫へ・・・。苦みもないので食べやすいので、作り置きすると重宝します。