自然のシステム

2013年7月第3週

今週の野菜セット

左から

殺人的な猛暑でした。なんて、過去形を使っていいものかどうか。週末に梅雨空がもどってきましたが、今週もあの目眩がするような陽光が照りつけるんでしょうか。

常軌を逸した暑さでしたが、しかしその暑さのおかげで、梅雨時の水不足が解消されているのかもしれません。雷鳴とともに風が冷気を帯び、昼間の暑さがウソのように遠のくと、人だけでなく植物たちもほっとするのでしょう。そこへ水の補給があるわけですから、ありがたさも格別です。

自然というのはどんなに過酷に見えても、どこかでちゃんと帳尻を合わせてくれるものなんですね。歯止めのきかない人工のシステムと、そこが大いにちがうところです。それにしても、ギラギラ照りつける太陽とスコールがセットだなんて、この国はいつの間に熱帯地方に引っ越しちゃったんでしょう。

すこし前に、うちの畑におんぶバッタの幼生が大発生。紫蘇やバジルが穴だらけになっている話をしましたが、最近、それがおさまってきたと思ったら、イヤリングにしたらちょうどいいサイズの青ガエルが、こちらのほうも大発生。淡い緑色をしたきれいなカエルです。カエルは苦手だけどこれは大丈夫という人もいるぐらいで、大きくなっても子供の親指サイズ。田圃にいるカエルとはちがうみたいです。そんな愛らしいカエルたちが、おんぶバッタを補食していたんですね。毎年目にしていますが、今年にかぎってこれだけ数が多いのは、バッタの大量発生に呼応しているとしか思えない。これも自然のシステムの奥深いところなんでしょうね。

おんぶバッタの大群がいなくなってほっとしていたのもつかの間、今度は成虫サイズのキリギリスやバッタが跋扈しはじめました。頼みのカマキリはまだ二センチ足らずの幼虫で、青ガエルも太刀打ちできる相手ではなさそうです。

それでもそれほど数が増えないところを見ると、ちゃんと天敵が存在しているみたいで、それはときどき畑の隅をものすごいスピードで横切って行く、背中が青く光るトカゲか、雨上がりの草むらでギャッギャッギャと怪鳥みたいな雄叫びをあげる赤ガエル。

こちらが余計なことさえしなければ、生態系というのはちゃんとバランスがとれるようにできているんですね。

ところで、わが家のガレージに遅れてやって来たツバメは、今も抱卵中ですが、アラレちゃんのところでは古い蔵の壁の隙間にスズメが営巣していたそうです。スズメの巣があるとダニが落ちてきたりするので、かつて嫌われもので、軒下に藁のかたまりなどがあると容赦なく排除されていたそうです。

ところがスズメが激減した今では、そういう人もいなくなった。というよりもスズメが営巣できるような軒下がなくなってきてるんですね。それでしかたなくスズメたちが選んだのが雨樋で、雨樋の両端にある水受けのふくらみが格好の営巣場所になったのでした。梅雨の時期と重なりますが、少々の雨なら巣も無事だったみたいです。

ところが集中豪雨が多発するようになり、とくに四・五年前、五月にそれが何度かあった年があり、そのときはいたるところで巣が流されました。わたしも何度か、雨樋の下に転がっている、まだ羽毛もまばらな雛たちを見かけたもので、あの何年か続いた時ならぬ大雨が、スズメの激減を加速させたにちがいない、とにらんでいます。

さて、アラレちゃん宅のスズメですが、これは雨とは関係なく、雛の一羽がなにかの拍子に巣から落ちたのだとか。コンクリートの軒下に落ちた雛は、当然即死でしたが、大きなアオムシを咥えた親鳥が帰ってきて、死んだ子供の口に押しこもうとしていたそうです。泣かせる話でしょ。

スズメはかつて害鳥あつかいされていましたが、スズメが害鳥になるのは稲が穂をつけるほんの一時期で、それ以外のときは虫を捕食する益鳥だったんです。もっとも害鳥だの益鳥だのといった区分そのものがナンセンスで、そんなことをいったら人間など、害獣の最たるものになってしまうんですけどね。

もっともスズメのほうでも、今さら益鳥なんていわれても、アホらしいと一蹴したい気分なのではないでしょうか。絶滅が危惧されるようになるまでは、保護どころかなんの気配りもない。それが人間界ですから、勝手にしやがれ、というのが正直なところかも。いくらでも、お好きなようにこの世界を住みづらくしてください。いちばん困るのはあなたたちなんですから、といわれているみたいで肩身が狭い今日このごろです。

今週の野菜とレシピ

今週はどうなりますか。もとの温帯地方にもどれとはいいませんけど、せめて亜熱帯あたりまで後退してくれるといいんですけどね。

暑いときは枝豆でビール、というのはひと昔前のことで、これだけ暑くなるとほんものビールよりノンアルコールのほうが涼しくていいそうです。枝豆はサヤの両端を鋏で落とし、塩もみしてから湯がくと色がきれいに仕上がります。ザルに上げたら塩をふって、自然に冷ましてからお召しあがりください。

夏バテ防止にはオクラモロヘイアのぬるぬるパワーが効果的。ピーマンは種が甘いので、捨てないでいっしょに調理してください。

彩りのきれいなプチトマト。食べるのがもったいないみたいですが、うっかりそのへんに置いておくと、いつの間にか消滅する危険性があります。食べるときは家族みんなで、ね。