ツバメの旅立ち

2013年8月第4週

今週の野菜セット

左から

暑い日が続きますが、さすがに朝夕は涼しくなりました。草むらからはチロチロ、コロコロと秋の虫の羽音が聞こえてきます。これを聞くと、ああ秋も近いんだな、と思うのですが、今年の残暑はお尻が重そうです。蝉時雨もまだまだ元気いっぱいで、当分は秋の虫とのせめぎ合いが続きそう・・・。

コオロギなどは農家にとってはありがたくない虫なのですが、この時期だけはツクツクボーシに負けるなよ、と応援したくなるものです。

ツバメは秋を待たずに姿を消しました。ガレージの巣からは三羽が巣立ち、日中は親鳥といっしょに飛び回っているとみえ、留守になるのですが、夜には三羽が仲良く巣の中におさまっている姿が見られました。小さな巣ですからね、狭くなってくると巣のふちに止まり、こちらにお尻を向けて寝ているようでした。

それがある日、二羽になったと思ったら、わたしの寝室にツバメの首なし死体が・・・。羽が飛び散っているのでおかしいと思ったら、ベッドと壁の隙間から出てきたのです。あのクソ猫め。あいつが余計なことをしないように、車をガレージに入れないようにしてたんですけどね。

ツバメは小虫を追って低空飛行するものですから、それを物陰から狙っていたんでしょう。罰としてご飯を抜くつもりでしたが、夜中にあんまりうるさいのでドライフードを出してしまった。うちの犬に意地悪をするので、最近冷遇されているせいか、ますます性格がわるくなってきたみたいです。

ツバメが巣立つ当日には、近所にいるツバメたちが全員集合して、雛たちを応援するように飛び回るんですよ。庭中がツバメだらけになったら、それが巣立ちの合図。感動的な光景で、なにもしていないにもかかわらず、子育てを無事に終え、ほっとしたような気分になるものです。

そして今、巣の下の糞だけを残して、みんないなくなりました。おそらくすこしずつ南下しながら、旅立ちに備えているんでしょう。いつだったか、帰宅途中の農道で、電線に勢揃いしているツバメを見たことがあります。百羽まで数えてやめてしまいましたが、五百羽以上いたのではないでしょうか。あんなにたくさんのツバメを見たのは、それが最初で最後でしたが、きっと益子中のツバメが集合していたんでしょうね。

ツバメたちはさえずるでも、身繕いをするでもなく毅然と整列していて、ピリピリとした緊張感がこちらにも伝わってくるようでした。これから南下して、やがて海に出る。その長い旅路を思うと身が引き締まるようで、人の暮らしなんて甘っちょろいもんだな、と思ったものです。

当然、その中には巣立ったばかりの幼鳥もいるのですが、渡りの最中は親子も夫婦も、すべての私的な関係が解消されるんだそうです。それぐらい過酷な旅ということでしょう。私情が入ると隊列が乱れることになりますものね。

東南アジアのどこかの国まで、無事にたどり着いてくれますように。そしてまた帰ってくることができますように。ついでに、うちの猫の狼藉を水に流して、来年もまた来てくれるといいんですけどね。

今週の野菜とレシピ

今週はいつもの夏野菜に、葉生姜ネギが加わりました。今週も暑い日が続きそうです。麺類の薬味などにご利用ください。

でも、素麺や冷や麦ばかり食べていたのでは、秋口に体調を崩しそうです。かといって、若い人みたいにバーベキューや焼き肉でスタミナをつけようとしたのでは、、かえって疲れてしまいます。暑い時期の肉類は体内に活性酸素を貯めこむことになるからです。

ニューギニアではかつて、豚肉は年に一度のご馳走でした。熱帯で肉食すればどういうことになるか、熟知していた先人が肉食をタブーにしたんですね。でも、完全に禁止してしまったのでは欲求不満になってしまうので、お祭りのときだけ村中の豚を食べることにしたのです。年に一度のことだから、みんなたらふく食べて、挙げ句の果てに下痢をする。これが狙いだったようです。

そんなタブーも今ではいいかげんになり、西洋文化の流入とともに小麦を食べるようになり、ふだんでも肉食するようになった。その結果、肥満に悩まされるようになり、これまでなかったような病気も増えているとか。政府は伝統的なタロイモを中心にした食生活を指導しているそうですが、なかなかうまくいかないようです。

おそらくニューギニアより暑いであろうこの国でも、夏の間は肉食は控えたほうがよさそうです。じゃあ、なにを食べるのかといったら、植物性蛋白質。中でも納豆は理想的みたいですよ。刻みネギをたっぷり加えた納豆でも、刻んだオクラを加えた納豆でも、それで冷たいお蕎麦を食べてよし、油揚げの中に入れてフライパンでこんがり焼いてもよし。これにバーベキューソースをたらすと、若者たちにも受けると思いますよ。

野菜たっぷりセットの方には、うちの畑から中玉トマト(小玉?)と、赤毛瓜(モーウィ)が入ります。どちらも全員に行き渡らなくて申しわけありません。

赤毛瓜という名前のとおり、皮の表面にオレンジ色の産毛が生えています。その皮をピーラーできれいに剥き、半割にして中の種を取り除いてから薄くスライスしてください。塩をふってしんなりしたら、水気を絞って甘酢に漬けます。半日ほどで食べられますが、保存も利きます。しゃりしゃりした食感が爽やかな沖縄野菜です。