雪の被害

2014年2月第4週

今週の野菜セット

左から

先日の雪、わたしは犬といっしょになって浮かれていましたが、農の現場はたいへんなことになっていました。

出勤途中にあるイチゴやトマトのビニールハウスの多くが、天井が崩落し、支柱がねじ曲がっています。イチゴを提供してくれている須藤さんのハウスも、六棟中五棟が倒壊。出荷の最盛期を目前にしての出来事ですから、打撃も大きいと思います。顔では笑ってますけどね。

青山さんのハウスも倒壊してました。中にあったのは、これから出荷するニンジンと赤かぶ。青山さんは雪の降りはじめ、竹を切り出して支柱の補強をしたそうですが、それが真っ二つに割れていたそうです。

でも、暖房を必要とするトマトやイチゴとちがって、かぶやニンジンは外気にあたっても大丈夫ですから、収穫が遅れることはあってもダメになることはないとのこと。好子さんのハウスは無事で、うちのハウスはプロの手を借りず、わたしが作ったのでいいかげんにできているから大丈夫、というわかったようなわからないような話でした。

ひと昔前、物置のCMで「XXXの物置、百人のっても大丈夫」というのがあったでしょ。それを見るたび、物置の上に人がのってどうするんだと思っていましたが、あれって雪対策だったんですね。

今回、雪の重みがどれだけ怖いか痛感することになって、はじめてそれが理解できました。ビニールハウスを「百人のっても大丈夫」にするのは無理な話かもしれませんが、農作業の効率化のほうに重きが置かれてきた結果、構造への配慮が欠けていたのは確実で、お金をかけた立派なハウスにかぎって倒壊するという皮肉なことになっているようです。

青山さんのハウスも好子さん同様、プロの手の入らない簡素なものだったのですが、それが倒壊したのは支柱にした竹を切り出した、まさにその竹藪がハウスにかぶさり、積もった雪を一気に落としたのが原因だったといいますから、これも皮肉な話ですけどね。

ともあれ、温暖化という現象はただ単に気温を上昇させるだけでなく、一部には雨や雪を大量に降らせ、一部には旱魃を発生させるというタチのわるいもの。農業関係ばかりでなく、住宅地でもいろいろ見直しが必要になってくるんでしょうね。

しかし、いつも思うのですが、気候の不安定さや災害というのは、わたしたちとはなんの関係なく、突発的に外部から押し寄せてくるものなんでしょうか。人の意識というのは根っこのところでは繋がっていますから、そういう無意識の領域が気候のみならず、社会現象をも作り出しているような気がするんですね。

それが証拠に、温暖化が進むのと歩調を合わせるように、世界中で強権政治や紛争が多発してるでしょ。この国で起こっていることも見てのとおり。赤信号、みんなで渡れば怖くないという、かつての漫才ネタみたいな世界が現実になりつつあります。

災害も紛争もだれひとり望んでいないにもかかわらず、どうしてそんなことが起こるのかというと、人類の意識がエネルギーを失っているからではないでしょうか。嫉妬や不平・不満が不寛容を生み、それが意識のレベルを低下させる。去年、流行語になった「十倍返し」など、国民の意識レベルを一気に落としてしまったのではないでしょうか。

問題のドラマを見ていないので偉そうなことはいえませんが、倍返しをすることでそのときは溜飲を下げることはできても、またおなじことが自分の身に降りかかってきそうな気がします。人を責めることで自分を救おうとするのは、むしろ逆効果。人を許せないのでは、自分も許されるわけがありませんからね。

そうして世界中に報復の嵐が巻き起こるわけで、人間の意識レベルが下がるから自然界もそれに同調するわけです。死刑制度を廃止した国々で殺人事件が減り、犯罪が増えるからといって厳罰化を進めている国にかぎって、逆に犯罪が凶暴化していることからもわかるように、許すという精神的な行為には大きな意味があるのだと思います。

それはなまなかなことではないでしょうが、自らが寛容になることによってしか、わたしたちが自然界から受ける刑罰も減らすことはできないんじゃないか。みんなが困っているときに、雪山なんぞで浮かれていたわたしがいうのもなんですか、わたしたちに求められているのは受容と許しであり、それこそがほんとうの「愛」であり、世界を変える原動力ではないかと思ったしだいです。

今週の野菜とレシピ

青山さんのハウスが倒壊したため、予定されていた赤かぶはもうすこし先になりそうです。今週はお送りできる野菜がすくなくて、ほんとうに申しわけありません。

今週は寒さがゆるみそうです。たまにはほうれん草もサラダにしてみませんか。スライスしたりんごといっしょに、醤油少々を加えたフレンチドレッシングで、ひと足早い春を味わってみてください。りんごとほうれん草のジュースというのもおいしいですよ。

このあたたかさで赤かぶやキャベツが育ってくれることを祈っています。