春が来た

2014年3月第3週

今週の野菜セット

左から

すこしずつあたたかい日が増えて、ようやく三寒四温というのが実感できるようになってきました。

あれだけ猫に踏みにじられたにもかかわらず、早咲きの水仙が郵便受けの根元で黄色い花をつけました。辛夷の蕾もふくらんで、銀色の産毛が朝日にあたって輝いています。

あたたかくなるにつれ、モグラのみならずネズミも活動的になるのでしょうか。猫がやたらとネズミを捕ってくるようになり、後始末に追われるようになりました。頭だけとか、尻尾と内蔵だとか、そんなものが転がるようになるんですね。食べたネズミをそっくりそのまま、床の上に吐き出していることもあります。

気の重い後かたづけですが、もっと困るのは生きたネズミで、猫は捕らえてもすぐには殺しませんから、中には運よく生き延びるのもいて、それが玄関の靴の中とか、家具の後ろに隠れていたりする。まるでびっくり箱の中で暮らしているみたいになるんですよ。すぐれた資質を持った猫なんでしょうが、ぼけーっとしていた先代の猫がなつかしく思い出されます。昨夜も捕らえてきたネズミを追い回す音で、二回も目を覚ましてしまいました。

犬もネズミを捕ることがあります。山の中を歩いている途中、枯れ葉が山になったところをしばらく凝視していたかと思うと、いきなりジャンプ。葉っぱの中から顔を出したとき、野ネズミをゲットしてました。これは以前、映像で見たことのあるキツネとおなじ捕獲法です。

それを散歩の間中、後生大事に持ち歩いていましたが、途中で野ウサギでも見つけたのか、ネズミを捨ててそちらにダッシュ。手ぶらでもどって来てから、ネズミを藪の中に埋めてしまいました。べつに埋葬したわけではないのでしょうが、その後も捕獲した場所には固執しても、埋めたところは素通りで、あまり関心がないようなので、猫ほどネズミには執着しないようです。

わたしは食べたことはありませんが、ネズミの肉はおいしいそうです。隣人が南米に滞在していたとき、知り合いの家の台所に何匹も天竺ネズミがいて、それがじゃが芋の皮など野菜クズを餌にしている。天竺ネズミというのは、こちらでいうモルモットのことですから愛らしく、ペットだとばかり思っていたら、彼女が帰国する間際、かれらの姿がかき消えて、代わりにいつもは質素なテーブルに炙り肉が盛られていたそうです。

瞬時に肉の正体を知った彼女は、とても食べられないと思いましたが、自分のお別れパーテイーのために用意してくれたご馳走なので、口にしないわけにはゆきません。おそるおそる口にしてみたら、今まで食べたどんな肉よりもおいしかったとのこと。益子の台所でも飼いたいぐらいだけど、たぶんペットにしてしまって、最後は埋葬することになるんだろうね、と笑っていました。

うちの犬は中途半端で、捕らえたネズミをペットにもしないかわり、食べもしない。運よく野ウサギを捕まえても同様です。中途半端ではありますが、猫が持ち帰ったネズミにも、食べきれずに転がしているネズミにも興味を示さないので、その点は助かっています。そういうネズミは屋根の上に放り投げておくと、トンビかカラスがめざとく見つけて処分してくれることになっています。

ネズミのおかげで寝不足なので、こんな話になってしまいました。ネズミがきらいな人がいたらごめんなさいね。

日曜日、ウグイスの第一声で目を覚ましました。ホーホケキョといきなり一人前のさえずりを耳にして、寝間着にカーデイガンという不精な格好で外に出てみましたが、明るくなりかけた時間帯なのに、身を切るような寒さはありません。

冬の間、雨水受けの底のほうに沈んで、ほとんど姿を見せなかった金魚たちも、わたしの足音を聞きつけると水面ちかくに上がってきます。食欲が出てきたみたいです。いよいよ春ですね。今週末はもうお彼岸。暑さ寒さも彼岸まで、とはよくいったものです。

今週の野菜とレシピ

今週も赤かぶが入りました。一夜漬けがおすすめですが、オリーブ油をすこしたらすと、サラダ代わりにもなります。

今、流行っている青菜の食べかた。流行っているといっても、うちだけなんですけど、ちょっと春めいたおひたしです。

ほうれん草でも小松菜でもいいですから、さっと湯がいて水気をよく切り、ちりめんじゃこを加えて油少々、塩少々で和えます。ちりめんじゃこに塩気があるので、塩はほんのすこし、ぱらぱらと振る程度。油はほうれん草には胡麻油、小松菜にはクセのないグレープシードオイルかサラダ油がおすすめです。ほうれん草と小松菜はすこし飽きたので、今度はニラで試してみます。ニラにはやっぱり胡麻油が合うんでしょうね。

北海道の玉葱は今回でおしまい。次回からは愛媛の新玉葱になります。