エコでクリーンなエネルギー

2014年10月第4週

今週の野菜セット

左から

台風は18号も19号も、鳴り物入りの登場だったにもかかわらず、どこをどう通過したのやら、二週にわたってなにごともなく、まるで肩すかしを食らったようでした。でも、ありがたいことですよねえ。どなたの心遣いか知りませんけど、かたじけなさに頭の下がる思いです。

それとは逆に腹立たしいのは、あたりの景観を台無しにするソーラーパネルがそこら中に増えていくこと。つい先だって、経産省がソーラー発電の規制に乗り出したというニュースがあって、こんな無茶苦茶なシステムを生み出した張本人が今ごろになってなにをいっているのか。苛立っていたときに、ちょうど横浜にお住まいのHさんから市民発電所に関する小冊子が届きました。もしかしたら会員のみなさんの中にも、風力やソーラー発電といった「クリーンエネルギー」のイメージ戦略に騙されている方がいらっしゃるかもしれませんので、実態を紹介させていただきますね。

脱・原発依存や再生可能エネルギーといった言葉には非常に強い力があります。エネルギーは自家発電。電力会社から自立して、なおかつ余った電気は売れる、なんて聞いたらわたしだって屋上にソーラーパネルを並べたくなります。お金があればの話ですけど・・・。

でも、ちょっと待て。売電といっても、消費者の電気代に再エネ賦課金として上乗せされるだけであって、電力会社の負担はゼロ。すなわち隣近所に自分が売った電気代を負担させていることになり、しかもパネルでできたお天気しだいの電気はクズ電気として、捨てられているのが現状というではありませんか。安定した電気系統にクズ電気を入れると、近隣の家電がショートしてしまうからだそうです。

しかもソーラーパネル本体は原発メーカー製。メンテナンスは電力子会社といいますから、水も漏らさぬ見事なシステムといいますか、そこまでやるか電力シンジケート。ヤクザも顔負けの闇の深さ、えげつなさが見えてきます。もう市民レベルでは太刀打ちできそうもありません。それどころか、原発に依存しない電力の自給自足といううたい文句で、市民団体がどんどん取り込まれつつあるというのです。

風力にせよ、ソーラーパネルにせよ、事業者がそういうものを作るといろいろ周囲から苦情が出るのがわかっているので、市民みずからにそれを作らせようというのですね。風力発電は騒音も大きいし、低周波による健康被害など問題が多いのですが、自分たちが導入したものであれば文句もいえない。もちろん風車で作った電気だって、わたしたちの電気料金に上乗せされるだけで、電力会社は痛くも痒くもない。どんどん導入させて、売り上げアップ。でも、シンジケートの目論見はそれだけではないんですね。

風力やソーラーパネルが普及してくると、スマートグリットというメーターが必要になってくるんだそうです。太陽光に水力、風力、火力、そしてもちろんそこには原発もばっちり組みこまれるのですが、いろんな電源をこのメーターで管理することになっています。このメーターについてはNHK第一放送のニュース番組の中で特集が組まれたことがあって、聞いてはいるのですが、どうもよくわからない。すんなりと理解できないものは怪しいもの、という思いこみがあるものですから、やたらとこれを勧めたがるNHK解説員も含めて、なんだかなあと思っていたら案の定、怪しいどころかとんでもない代物だったんですね。

各家庭がスマートメーターで電力を管理できるということは、このメーターを管理することで各家庭の情報もまたダダ漏れになるということです。すなわち監視社会の到来というわけで、めでたく原発も再稼働。そのうえ秘密保護法なんて便利なものがあるから、もうやりたい放題になるわけです。

原発を再稼働させないために新しいエネルギー源が必要、というのもまやかしで、原発にはかならず揚水発電といっしょに火力がセットになっているものです。原発は稼働中してるときだってコントロールの効かないものだから、そういうものが必要で、したがって原発が止まったところでなんの問題もないわけです。実際、そういう状況が続いてるんですものね。

でも火力があるから安心ですよ、なんていってしまったら、原発はどんどん廃炉に追いこまれることになってしまいます。だから自然エネルギーが大事になってくる。エコというと浮かれるバカはいっぱいいるし、脱原発といえば今や水戸黄門の印籠よりも力があるわけです。しかも自然エネルギーによる電気が増えれば、火力発電の出番が減るかといえばそうではなくて、メガソーラーなんかが勝手に系統に入りこまないよう、スマートメーターでコントロールしながら火力を調整。つねに火力発電所がフルアイドリングで待機してなくてはならないんですね。

つまり山を丸裸にして風車を並べようが、ところかまわずソーラーパネルが広がろうが、火力発電所も原発も減らないし、減らせない。マスコミは貝のように口を閉ざしてしますが、火力発電も進化していて、新型の炉では出した煙をもう一度焼却して利用するのでCO2の排出量も激減するし、燃料代も安くて済む。なんの問題もないわけです。原発みたいなものを輸出するより、そういうものを輸出したほうが日本の格も上がると思うのですが、電力シンジケートというのはきっと国際的なものなんでしょう。アメリカから原発を売ってこいといわれれば、首相みずからがそそくさとセールスに赴いて、それのどこが戦後レジームからの脱却なんだかよくわからないけど、これだけ摩訶不思議な世界に住んでいると、そんなものかと思うしかないのかもね。

かくして野山は鉛やカドミウムなどの重金属や、レアアースなどからなるソーラーパネルだらけになり、二十年後にはそれらが大量に廃棄物になる。当然、廃棄にはお金もかかるでしょうから、あちらこちらで不法投棄が横行し、それが地下水に漏れ出すことになるかもしれない。どうかこれ以上、見せかけだけのクリーンだの、ひとりよがりのエコだの、はた迷惑な発電所が増えませんように・・・。

*Hさんにいただいた資料の中にあった「スマートメーターの電磁波から健康を守るために導入の中止を求める請願書」を一枚ずつ同封させていただきました。趣旨に賛同いただけましたら、署名のうえ、取り扱い団体、もしくは益子GEF事務局までお送りいただければさいわいです。