畑の居候

2014年5月第4週

今週の野菜セット

左から

さわやかな晴天が続いています。空気が乾燥しているのと、風があるおかげで、暑さもそれほどではありません。毎日が行楽日和。でも、毎日遊んでいるわけには行かない農家にとっては、ちょっと迷惑なところもあるようです。

まず、雨が降らないので枝豆やモロヘイアといった夏野菜の芽が出ない。風が強すぎて、絹さややスナップエンドウの蔓が揉まれる。いちばん困るのは畑にアリの巣ができることで、雨がないのをいいことに、アリが勢力地図を広げているようです。

わが家の菜園にもアリたちが侵入していて、畑仕事をしているとまるでこちらが侵入者のように攻撃してきます。アリってすごいですね。米粒みたいな大きさで、ゴジラ並みに巨大な人間に立ち向かってくるのですから・・・。草むしりをしているとき、かれらの巣に損傷など与えようものなら、わらわらと小さな兵士たちがこちらの脚や腕に這い上がってくるのです。アリに刺されるとちくちくとした痒みと痛みがいつまでも続くので、慌てて退却することになります。

早く梅雨入りしないかなあ、などと勝手なことを考えながら、雨が続くようなとき、アリたちはいったいどうしているのか。巣の中が水浸しになるようなことはないんだろうか、とよけいなことも気にかかります。アリが多くなると、それに呼応するようにアリ地獄の巣穴も目立つようになります。こちらのほうは雨が降っても大丈夫なように、ちゃんと軒下に巣穴を作るのでなんの心配もない。やっぱり捕食者のほうが一枚上手なのかもしれませんね。

ここ数年、ヘビの姿を見かけなくなっていましたが、今年は裏庭で二度もお目にかかりました。大きさがちがうので、おなじヘビではなさそうです。ということは二匹はいるということで、裏庭もいくらか豊かになってきたようです。

小さなころからミョウガ畑に住み着いていたマムシがいなくなり、二十年ちかくも物置小屋の周辺にいて、わたしの腕の太さにまでなっていたヤマカガシもほとんど同時に姿を消して数年になります。どちらも猛毒がありますが、かれらが攻撃してくることはなく、ミョウガを探しているときにうっかり尻尾を踏んでしまっても、マムシは迷惑そうな顔をこちらに向けるだけ。ヤマカガシにいたってはシャイな性格のせいか、ときどき飼料袋の間などから身体の一部が見えるぐらいで、なかなか全身象を見ることはできませんでした。

それでも年々脱皮をしながら、かれらが大きくなっていくのが楽しみになっていました。特別ヘビが好きというのではないんですけどね。それどころか引っ越してきたのが山の中なので、しょっちゅう遭遇するのが苦痛なぐらいだったのです。それでも人間ってなんにでも慣れてしまうものらしく、捕まえて首に巻きつけるようなことはできなくても、見たぐらいでは驚かなくなる。毎年顔を合わせるようになると、愛着すら覚えるようになってくるんですね。

ところが皮肉なことに、ヘビに対するアレルギーがなくなるにつれ、肝心のヘビがすくなくなってきたのです。裏庭にいるヘビが農薬の影響を受けるとは思えないので、たぶんイノシシにやられたんでしょう。冬眠中などに掘り当てられてしまったら、一網打尽ですからね。ヘビは冬眠するとき、種類を問わずにいろんなヘビが団子状にかたまりますから、ご近所同士だったマムシもヤマカガシも、なんの抵抗もできないまま食べられてしまったんだと思います。

新顔の二匹だって、生き延びるのはたいへんです。まず猫の目に触れてはいけない。もちろんイノシシもです。梅雨時に脱皮をしますが、それもまた命がけ。おまけに冬眠中も危ないとなると、かれらは幸運の積み重ねによってしか延命できないことになりますものね。挨拶代わりに二匹のヘビに卵をプレゼント。長く居着いてほしいものです。

今週の野菜とレシピ

先週は好子さんのほうれん草のトウが立ってきたため、途中から京菜に代えさせていただきました。申しわけありません。

今週はちぢみレタスが入ります。ふつうのレタスよりサニーレタスにちかい外観ですが、しゃきしゃきした歯触りはレタスそのもの。サラダよりも炒めものがおすすめです。

レタス1個に対して豚バラ肉を100グラム前後。春雨30~40グラムを用意。レタスはおおまかにちぎるか包丁を入れ、春雨はお湯でもどして包丁を入れておきます。豚バラ肉は2センチ前後にカット。フライパンに油を熱してバラ肉を炒め、火が通ったところで濃いめに塩、胡椒、オイスターソース少々で調味しながら、かりっとするまで傷めたらレタスを加え、半分ぐらい火が通ったら春雨も加えます。最後に醤油で味を調えたらできあがりです。

青山さんのニンジンは今回が最終便。保管する場合は葉っぱを根元から切り離し、袋に入れたまま冷蔵庫の野菜ボックスに入れてください。葉っぱは細かく刻んでちりめんじゃこといっしょに炒め、醤油で味つけ。煎り胡麻を加えるとふりかけとしてご利用いただけます。

エシャロットは薬味用。葱のなくなる時期なので、うちでは納豆などにもこれを使っています。