春の鳥・3
2014年4月第1週

左から
- 京菜
- ほうれん草
- かき菜
- ブロッコリー
- 里芋
- 長ネギ
春ですねえ。
南のほうではもう桜が咲いているようです。こちらの桜はもうすこし時間がかかりそうですが、ひと足はやく辛夷(こぶし)が満開になりました。レンギョウの蕾もいつの間にか開いています。
日差しも強くなって、朝、目を覚ますのが早くなりました。寝間着姿のまま外に出ても寒くないものですから、顔も洗わず、子供用の小さなバケツを片手に庭先を一周。ツクシを摘むのがここ数日の日課で、ふだんは寝坊の犬もいっしょに起き出してきます。
寝坊の犬と飼い主が朝っぱらからうろつくぐらいですから、春の威力ってすごいと思います。春眠暁を覚えず、というのはどうなったんでしょうね。
夜間の冷えこみもなくなると、寝床が狭くなってきます。なぜかというと、冬の間はベッドの足元で丸くなっていた犬が、長々と身体を伸ばして寝るようになるからで、柴犬とおなじぐらいの中型犬も、シングルベッドの上では大型犬に変身します。猫もミニ炬燵から出てこちらに移ってきますから、よけいに狭くなるんですね。
もっと気温が上がって、こちらの寝相もわるくなってくるころには、もう犬も猫も寄りつかなくなりますから、かれらと同衾できるのも残りわずか。窮屈な姿勢に慣れてくると、好き勝手に手足が伸ばしては、かえって眠れなくなるから不思議なものです。
アラレちゃんは今朝、雪の中を裸足でシューベルトのアベマリアを歌いながら歩いている夢を見たそうです。あまりの寒さに目が覚めたら、上半身だけ肌掛け一枚にくるまっている格好で、布団は猫どもにはぎ取られ、ベッドの脇に落とされていたんだとか。こういう同衾はお断りですけどね。
春を告げる鳥。トンビ、キジに続いて、今週はコジュケイです。
キジの雄叫びの合間に、チョットコイ、チョットコイというコジュケイの啼き声が聞こえるようになりました。サイズも色合いも山鳩に似た地味な鳥ですが、声はキジに負けず劣らず、山間に響き渡ります。この鳥からチョットコイといわれると、とくべつ野鳥が好きでなくても、ちょっと行って挨拶のひとつもしたくなりますが、当の本人はテリトリーを主張しているので、来られても迷惑なんでしょうけどね。
この鳥もキジと同様、藪の中に巣を作ります。二十年ぐらい前、そのころ飼っていた犬といっしょに山歩きをしていたら、いきなり犬の目の前に翼を傷めたコジュケイが現れたことがあります。不自然な姿勢で羽ばたきながらこちらの注意を引き、犬が走り出したとたん、ぱっと飛び立って姿を消してしまいました。わたしも犬もポカンとして、あれはなんだったんだろう、という感じで取り残されたわけですが、それがかの有名な「擬態」というものだと気づいたのはすこし後のことでした。
たぶん、わたしたちはコジュケイの巣に近づいていたんでしょう。そこで親鳥が飛び出してきて、犬を巣から遠ざけたんだと思います。あの迫真の演技は今も瞼に焼きついているぐらい見事なものでした。
コジュケイは小綬鶏というぐらいですから、小型の鶏で、飛ぶことはできても長距離移動はできません。だから物騒な藪などで営巣するのですが、野良犬にもヘビにも狙われやすいので、演技力で勝負するしかないのかもしれません。ときには演技中に命を落とすこともあるんじゃないでしょうか。ヒナの面倒見がいいことでも、定評があります。
カッコウなど例外はあっても、鳥はみんなヒナの面倒見がいいかというとそうでもなさそうで、昔、イギリスの片田舎で不思議な光景に出会ったことがあります。知人の庭先を鶏がヒナを引き連れて歩いているのですが、ヒナの脚には水かきがついているのです。知人に尋ねたら、アヒルはヒナの世話が下手くそというか、あまり面倒を見ないので、鶏に預けることになっているのだとか。鳥のメリー・ポピンズというわけです。
アヒルは自分の体重でヒナを窒息死させることもあるそうで、さすがはみにくいアヒルの子の継母だけのことはある、と思ったものです。その点、コジュケイはメリー・ポピンズの家系ですからね。夏も近くなったころ、かれらがヒナたちを引き連れて歩く姿に出くわすのが楽しみです。。
今週の野菜とレシピ
今週はかき菜が二種入ります。かき菜はあぶら菜の仲間です。あぶら菜は茎の部分にセシウムを蓄積しやすいので、念のため検査をしましたので、その結果を添えておきます。
あぶら菜は冬の間に蓄積された毒素を抜く作用があるといいます。おひたし、炒めもの、おつゆの実にご利用ください。
里芋も今回が最終便。湯がいて皮を剥いたものを、春らしく木の芽和えにしたいところですが、山椒の芽が出てくるのはもうすこし先。ほうれん草の葉先を湯がいて、すり鉢かフードプロセッサーでペースト状にしたものに味噌とマヨネーズ、お好みで豆板醤を少々加えたもので和えてみてください。
来週は愛媛の新玉葱が入ります。