十五夜

2014年9月第2週

今週の野菜セット

左から

涼しくなったり、暑さがぶり返したり・・・。この繰り返しは身体にダメージを与えますが、それはわたしたちだけでなく植物にとってもおなじみたいで、体力が落ちているようです。

先週、虫が種類も数も減っているといいましたが、害虫と呼ばれる草食の連中は別で、野菜がしゃんとしているうちは寄りつきませんが、ちょっとでも障りがあるとどこからか湧きだしたように群がりはじめます。これも自然界の神秘のひとつ。

今年は雨が多いので、種を蒔いてもすぐに発芽してくれました。それに気をよくしていたら、この日替わりメニューみたいな気温の変化。きのうまでなにもなかったところに、今朝行ってみたら、わらわらと小さなコオロギが群がっていて、まるで地面が動いているかのよう・・・。さっそく米ヌカを撒いて、コオロギたちの関心をそちらのほうに向けえやらねばなりません。

わたしたちにはさいわい、コオロギも芋虫もまつわりつきませんが、体力が落ちてくるとちょっとしたことで風邪をひいたりします。ただでさえ夏の疲れが出やすい時期なので、目には見えない虫にたかられないよう、しっかり食べてくださいね。

裏庭の栗が実を落としはじめました。柿も青い実をたくさんつけて、ただいま熟成中。イチジクの実はまだ親指の頭ほどですが、これが大きくなるのを待っていると霜にやられてしまうので、油をつけてまわります。お尻のところに食用油をひと塗りしてやると、見る見るうちに膨らんで、一週間ほどでやわらかく色づきます。庭先にイチジクの木があれば、ぜひお試しください。

紅白の水引草も金水引も咲き揃い、ワレモコウも花をつけました。月曜日は十五夜。ススキにそれらを添えて、里芋や栗ご飯といっしょにお供えしますが、このところ曇天が続いているのでどうなりますか。わが家のほうでは廃れてしまいましたが、アラレちゃんの住むところでは、今でも十五夜と来月の十三夜には子供たちがまわって来て、お菓子やお小遣いをせしめて行くそうです。これはお月さまが見えても見えなくても、たとえ雨でもやって来る、とのこと。

「ぼうじぼ」という藁製の鉄砲で地面を叩きながら、大声で「ぼうじぼ当たれ。三角畑に麦当たれ」と叫びながら練り歩く。これは害虫退治と豊作祈願を兼ねた行事で、昔は全国的に行われていたそうですが、今は廃れてぼうじぼを作れる人もだんだんいなくなっているんだとか。そりゃそうですよね。わたしもアラレちゃんから聞くまでは、知らなかったぐらいですから・・・。

でも、近所の人に聞くと、三十年ぐらい前までは毎年やっていたそうです。復活させたらどうだろう、といったら、ぼうじぼを作れる大人がもういない。あれは意外とむずかしいんだよ。それに、子供がこうすくなくなっちゃあ、といわれてしまいました。ほのぼのとした行事が消えてゆくのもさることながら、それを支える次世代がいない。文化の衰退といったらおおげさかもしれませんが、これからもどんどんいろんなものが忘れ去られていくんでしょうね。

正月明けのどんど焼きも、かつては部落ごとにやっていましたが、準備や後かたづけまで入れたら三日もかかる行事なので廃れる一方です。新しいものが出てくれば、古いものが消えてゆく。これも自然の摂理でしょうから、嘆くことではないのかもしれない。こういう変化の積み重ねの上に、現在のわたしたちがあるんでしょうから・・・。

とはいっても、夏祭りなんかは年々派手に、豪華になっているんですから、要は経済効果を伴わないものは消滅してもかまわないということなんでしょうか。経済効果の伴わないものこそ、わたしたちの社会を裏支えする貴重な文化だと思うんですけどね。

今週の野菜とレシピ

お月見には間に合いませんでしたが、里芋が入りました。十五夜は月曜日ですが、ほんとうの満月は火曜日なので、その日に荷物が届いた方はお月さまにもお裾分けしてあげてください。

小松菜も入りました。こういう青菜があるとほっとする季節になりましたが、

残暑とおなじで、まだオクラモロヘイアも入ります。おそらく今週あたりが最終便になると思います。

芋茎は3~4センチにざくざく切って、湯がいてから胡麻酢和えがおすすめ。そのまま味噌汁に入れることもできます。芋茎は加熱すると膨れるので、びっくりするかもしれませんが、冷めると元通りになるので心配なく。夏の暑さに疲れた身体を癒やすとともに、毒抜きにもなるという優れものです。

不思議なもので、夏の盛りにはあれだけわたしたちを魅了したミョウガの香りも、秋風が立つとあまり食指が動かなくなり、代わりにが薬味に欠かせなくなってきます。まだ葱がやわらかくなっていない、と青山さんは渋っていましたが、強引にお願いして出してもらいました。

わたしたちとは逆に、植物は暑い時期には防虫のため、厚着をするのでかたくなります。霜にあたるころになると虫もいなくなるので、ほっとしてコートを脱ぎ捨てるんですね。そんなわけでいくらかかためではありますが、細かく切ってご利用ください。


モロヘイアも衣にからめてかき揚げにすると、湯がいただけではわからない香りが出ます。お茶の葉に似た香りがするので、おひたしに飽きた方はお試しください。