連休明け

2014年5月第3週

今週の野菜セット

左から

寒暖の差の大きかった連休が終わりました。陶器市で賑わっていた益子の町内も平常にもどり、一家総出の田植え風景が見られた農道からも人の姿が消え、静まりかえっています。

にぎやかなのは鳥の声。規則正しく早苗の並んだ水面すれすれに飛んでいたツバメがもどって来ると、巣の中ではヒナたちが騒ぎ立てます。親鳥のおしゃべりもけっこうにぎやかで、お行儀よくしなさい、とでもいってるんでしょうか。しきりと話しかけながら、巣の中から糞を取り出しています。

バックグラウンドは山鳩とウグイスの声。そこへ時折、けたたましくカラスやキジの声が聞こえてきます。それに、これは啼き声ではありませんが、コゲラが慌ただしく木を突く音が混じります。このごろではどういうわけか、朝方にフクロウの声が聞こえるようになりました。山の中があんまりにぎやかになって来たので、おちおち寝ていられない?

そうではなく、フクロウはほかの鳥たちよりひと足早く、冬の間に抱卵して子育てを済ませているので、そろそろヒナたちが巣から出てくる時期なんでしょう。親鳥が、日が高くなってきたからそろそろ巣穴にもどりなさい、なんていっているのかもしれません。どこにいるのかわかりませんが、もこもこの白い羽毛に包まれたヒナの姿を想像すると、つい口元がゆるんできます。

毎朝の鳥の声が、一日の元気のもとになっているみたいです。

五月は百花繚乱の季節。畑の周囲でもカモミールやポピーが満開になり、その合間にキツネアザミやアマドコロなど、山草の花々も咲き乱れています。そこに群がっているのが花アブなど蜂の仲間。畑仕事をしていると、その羽音がぶんぶん聞こえてきます。

蚊やハエの羽音はうっとうしいというか、わずらわしいのに、蜂の羽音はどうしてこんなに気持ちがいいんでしょうね。なんだか世界が急に豊かになったような気がするものです。

垣根のブルーベリーの傍に行くと、ここもまた花盛りなもので、もう羽音なんてもんじゃなく、大きなうねりとなって渦巻いている感じ。今年もいっぱい実をつけてくれそうです。手入れをしていないせいか、柿や梅は一年おきに実がなったりならなかったりですが、放っておいてもブルーベリーは毎年たわわに実をつける。暑い盛りの収穫なので、億劫になることもあるんですけどね。

蜂の活躍は、奇妙な交配も生みだします。南斜面の日光キスゲは梅雨時に開花するのですが、淡い黄色の花が咲かなくてはいけないのに、ときにそれがピンクやオレンジの花弁になるんですね。おそらく近所の庭先にある百合の花粉を蜂が運んでくるからでしょう。

それにしてもピンクやオレンジの日光キスゲというのは、なんとも不似合いで、奇妙な感じです。そういう花は早々に摘み取って処分。奇形の連鎖を食い止めているのですが、さあ、今年はどんな色の花が咲きますやら、今から不安も交えて楽しみにしています。

草むらに足を踏み入れると、昔はよくヘビに遭遇したものですが、このごろでは希少種。イノシシに捕食されるというのも一因でしょうが、やっぱり農薬の普及が大きいみたいです。孵ったばかりの小さなトカゲもちょろちょろと逃げまわりますが、そういえばここ何年もカナヘビの姿を見かけません。

カナヘビはトカゲとちがって鱗があるので、体表がざらりとした感じで、色合いもくすんでいます。昔はどこにでもいて、よく猫のおもちゃにされていたものですが、いったいいつ頃から姿を消してしまったんでしょう。

どこにでもいたものがいなくなる。老母が経営しているスズメのパン屋も、年々お客さんが減っているようで、仕入れ係のわたしは助かっているとはいえ、やっぱり気にかかります。これだけいろんなものが姿を消していくのだから、人間社会がとげとげしく、不寛容になっていくのもしかたがないのかもしれません。小動物が住みづらいところでは、人間だって居心地がわるくなって当然なんでしょうね。

今週の野菜とレシピ

先週にひき続きフキが入りますが、今週は青山さんの畑から・・・。こちらのほうがやわらかく、香りも強いので煮ものに適しています。さっと湯がいてから皮を剥き、3~4センチにカットして濃いめの出汁で煮ふくめてください。高野豆腐や湯葉といっしょに煮てもおいしいですよ。

葉っぱのほうは先週のレシピにしたがって、佃煮にしてくださいね。

絹さやは卵と相性がいいので、上記の残りの出汁でさっと煮て卵とじ。または油炒めして塩、胡椒で調味したところに溶き卵を流しこんでも・・・。

愛媛のきゅうりはひと足早い初夏の味。汗ばむような陽気になると、こういうものがおいしくなります。ワカメといっしょに酢のものでどうぞ。