敬老の日

2014年9月第3週

今週の野菜セット

左から

蝉時雨に代わって、昼日中でも秋の虫の羽音が聞こえるようになりました。日中はまだ夏を引きずっていますが、朝夕の涼気がそれを振り払おうとするかのよう・・・。しばらくはこのせめぎ合いが続きそうです。

でも、来週はもうお彼岸。裏庭の彼岸花がいつの間に芽を出して、日当たりのいいところから咲きはじめました。その背後では藪になった萩が咲き乱れています。このピンクの花が散り、白萩が可憐な花をつけはじめると秋も深まります。今しばらく、夏の名残を楽しむことにしましょうか。

稲穂が黄金色に輝きはじめたと思ったら、もう稲刈りです。とくにわが家の周辺は、イノシシにやられる前に収穫してしまいたいんでしょうね。連日、コンバインの音が響き渡っています。

稲刈りが終わった田圃では、カラスたちが落ち穂拾い。今時のコンバインは米だけを収穫し、稲わらは粉砕して地面に残していくので、収穫が終わっても地面は黄色いまま。そんなところに黒いカラスが集まっているのですから、色の対比がうつくしく、絵になる光景です。

夕刻、カラスたちが引き上げた後では、犬がその中を走りまわります。うちの犬も黒いので、これもまたよく目立つ。ま、絵にはならないかもしれませんけど、田圃の水がなくなって、邪魔な稲も姿を消したという喜びがこちらにも伝わってきます。

田圃の持ち主もうれしそうにそれを見ています。数ヶ月の間、朝な夕なに水の管理。ようやく実をつけたと思ったらイノシシ対策というわけで、気の休まるときがなかったわけです。会う人ごとに愚痴を聞かされたぐらいで、中にはシシ脅しの花火持参で、軽トラの中で一夜を過ごすという人もいたぐらいですから、その喜びというか、解放感は犬の比ではないと思います。

ご苦労さまでした。でも、うちの新米はもうすこし待ってくださいね。青山さんの田植えが遅かった上、あのあたりにはイノシシが出没する心配もないので、収穫は今月末になりそうです。

敬老の日。うちの部落でもその日には、公民館にお年寄りを招いて昼食会を催しています。今年はわたしも当番なので、前日から煮ものを用意していましたが、集合時間の九時すぎに公民館に行ってびっくり。九十二歳のお婆ちゃんを筆頭に、八十過ぎの方々が七時前から集まって、お赤飯やらけんちん汁を作っているではありませんか。しかも材料はほとんど、自分の畑から持参したもの。敬老会というのは、どうやらお年寄りを頼りにして、いつまでも元気でいてもらおうというものだったみたいです。

稲刈りがあるから敬老会には参加できないという人もいるぐらいですから、田舎のお年寄りは元気です。うちの母ぐらいの年齢でも、みんな畑に出ているくらですからね。都会から来た婆さんは、彼女たちより身ぎれいにしている分、若く見えるけれども軟弱で、草むしりどころかちょっと歩いただけで息切れがするしまつ。なにがちがうんでしょうね。

わたしは田舎の婆さんになってやるぞ、という思いを強くした敬老の日でした。

今週の野菜とレシピ

今週はさつま芋が入る予定でしたが、部落内にお悔やみがあったので、畑に出られないとのこと。このあたりの葬式は昔にくらべたら簡素化されたとはいえ、近所の人を巻きこむところは変わっていないので大変みたいです。そんなわけでじゃが芋を使わせてもらいました、

うれしいのは間引き大根。あと二・三週もすれば大根が食べられるという期待もありますが、この時期はどんな青菜より間引き大根がおいしいからです。

さっと湯がいて、鰹節と醤油でお浸しに・・・。軽く湯がいたものを細かく刻み、ちりめんじゃこといっしょに炒めてもおいしいですよ。

新生姜が出てくると、わが家ではひと冬分のジャム作りをします。生姜はきれいに洗って摺りおろし、それとほぼ同量の水とグラニュー糖を加えて弱火にかけるだけ。ひと煮立ちしたらできあがりなので、フルーツジャムのように時間もかかりません。あつあつのうちにビン詰めして、しっかり蓋をしてから逆さにしておくと、ジャムの熱でビンも中の空気も殺菌されるので、あらかじめガラス瓶を煮沸する必要もありません。

常温保存して、口を開けた分だけ冷蔵庫に入れてください。トーストにつけてもいいし、紅茶に入れても美味。身体があたたまるので、冷え性の方は寝る前にお湯割りにしてどうぞ。