晩秋
2014年11月第4週

左から
- 葉付きニンジン
- ターサイ
- 里芋
- タマネギ
- 小松菜
- ほうれん草
- 大根
寒くなりましたねえ。こうなるのを待っていたとはいえ、実際になってみると予想以上に寒さが身にしみます。
朝のうちはキーボードを打つ手もかじかんでいますしね。情けない話ですが、身体がまだ寒さに慣れていないこの時期が、いちばんつらいのかもしれません。霜が下りるたびに滋味を増す冬野菜のように、わたしたちも逞しくありたいものですが、そのためには戸外で身体を動かさなくっちゃね。
住人のいなくなったころを見計らって、軒下の蜘蛛の巣払いにガラス拭き、ストーブの煙突掃除と今のうちにやれることもやっておきます。来週はもう師走。今年もあっという間に終わってしまうんでしょうからね。
紅葉の色が深まってきたと思ったら、惜しげもなくそれが散りはじめます。あるかなきかの風にも反応して、かさこそとかすかな音を立てながら地面に降り積もり、ちょっと強い風の日にはそれが波のように吹き寄せられる。そんな吹きだまりの中に野ネズミが潜んでいるらしく、犬も猫も五感を研ぎ澄ますがごとく神妙な顔つきになっています。
こういうシチュエーションでの狩りは一発勝負。犬も猫も狙いを定めて落ち葉の中にジャンプしますが、かわいらしいブローチのような野ネズミを咥えてくるのはたいてい犬のほうで、猫は目には見えない獲物を、臭覚だけを頼りに狩るという、こういうハンテイングはあまり得意ではないみたいです。
そのかわり夜間の畑に出没するネズミを狩るのはもっぱら猫のほうで、最近ではかならずひと晩に一度はただならぬ物音で目を覚まします。それはカリリコリリと獲物の骨をかみ砕く音で、まるで芥川龍之介の小説にでも出て来そうなおぞましさ。灯りを点けると食べかけの獲物を置いて猫は姿をくらまし、犬とわたしは顔を見合わせます。こんなとき、犬は自分も狩りをするくせに、わたしといっしょになって「猫っていやだねえ。野蛮だよねえ」という顔をするのです。
犬は狩りをしても食べることはほとんどないので、そういうネズミは屋根の上に放り投げて鳥葬。猫が食べ残した分も、ひと晩に何匹も狩ってしまって、始末に困ってそこら中に置いてある分も、みんな屋根の上でカラスの餌になるのですが、あるときあんまりカラスが騒々しいので出てみたら、トンビがそれを失敬しようとしてカラスたちに阻止されているところでした。トンビは生き餌しか食べないと思ってたんですけどね。
風流のかけらもありませんが、これがわが家では晩秋の風物詩。もっと寒くなると、猫もネズミも夜間の外出は控えるようになるんでしょう。春先まで厄介なお土産は姿を消して、羅生門と化したわたしの寝室にもつかの間の平和がもどって来ます。そのころにはベッドカバーにこびりついた草の実も一段落しているはず。やっぱり寒さも必要なわけですね。
今週の野菜とレシピ
今週も大きな大根が入ります。少人数のご家庭では、大量に大根を煮るわけにもゆかないでしょうから、フライパンですこしずつ炒め煮にしてみてはどうでしょう。
大根2センチぐらいの厚さで必要なだけ輪切りにし、皮を剥いたら油を敷いたフライパンに並べ、両面こんがりと焼きます。醤油とオイスターソースをまわしかけ、しっかりとからませたら水を加えて蓋をします。水気がなくなったら完成ですが、固いと思ったらもうすこし水を足してください。お好みで七味唐辛子をふってお召しあがりください。
この方法は調理時間が短くてすむだけでなく、調味料もふつうの煮ものより格段にすくなくてすみますから、塩分の取りすぎが心配という方にはとくにおすすめ。残りの大根はサラダや味噌汁にしてどうぞ。
ター菜も油炒めがおすすめ。生姜ひとかけのみじん切りといっしょに炒め、塩、胡椒、オイスターソースで調味。仕上げにカタクリ粉でとろみをつけて胡麻油を少量たらせば、それだけで立派な中華料理。もちろん彩りにニンジンを入れてもよし、肉や魚介類を加えたらもっと本格的になります。
しばらく玉葱が入っていないのですが、入れるだけの枠がない。そんなわけで今週はとりあげず500グラム入れさせていただきました。来週は青山さんのキャベツとサニーレタスが入ります。