ヒヨドリのこと

2014年12月第2週

今週の野菜セット

左から

雨水受けに薄氷が張りました。庭先を歩いていると、真っ白になった芝生がばりばりと音を立て、凍った葉先が砕け散ります。こちらの指先と鼻の頭も痛くなってくる・・・。ようやく冬になったという感じです。

畑の青菜も同様で、まるで粉砂糖でもまぶしたよう。日が高くなるにつれ、それがきらきらと輝きながら溶けてゆきます。ヒヨドリの雄叫びがそんな光景を引き裂くかのように響きわたり、ああ、そういえばこやつらも冬の風物詩のひとつだったんだ、と苦々しく思い出すのも、今年はいくらか遅れているのかもしれません。

ヒヨドリの声が騒々しくなってくると、畑には防鳥ネットが必要になってきます。ヒヨドリは本来、木の実が主食で、うちのまわりではガマズミや西洋ヒイラギの赤い実がどんどん消えてゆくのですが、そういうものが残っていても、なぜか畑の作物が荒らされるようになる。前々から気になっていたので、近所の野鳥の会のおじさんに尋ねてみました。

それによると、ヒヨドリはもともと留鳥なのですが、渡りをするグループもいて、それが畑を荒らすんだそうです。といっても、青菜類が好きというのではなく、本来主食であるはずの木の実は勢力の強いグループが独占しています。そこで移動せざるを得なくなるのですが、移動先でも木の実類は地元の鳥のテリトリー内。それでやむを得ず野菜を食い散らかすことになるんだそうです。

そんなことを聞くとかわいそうな気もするのですが、弱小グループのくせにしょっちゅう喧嘩をしています。内輪もめ?そんな余計なエネルギーがあるんだったら、もっと強いグループに挑戦でもしてみろよ。そうしてたまには木の実でも食ってみろよ、といいたくなってくるんですね。

青菜はほとんどが水分で、木の実にくらべたらカロリーも非常に低いわけです。そんなものばかり食べているグループは、子供の世代になっても栄養満点の木の実組にはかなわないわけで、どこまで行っても格差は是正されないことになる。それじゃまるでどっかの国みたい。まずいでしょ。

自家用のキャベツやら白菜にネットをかけながらぼやいています。ヒヨドリはおかまいなしにヒステリックな叫び声を上げ、小競り合い。かわいそうかもしれないけれど、やっぱりこの鳥はあまり好きじゃないなあ、と思いました。みんなに毛嫌いされているから、逆にいいところだってあるんじゃないかと思ってましたけど、見つかっていませんし・・・。

前にヒヨドリが残飯を漁っているところを見たことがありますが、ちょっと大きなかたまりは振り回すし、食いちぎれないものも振り回す。文字通り食い散らかすという感じです。そこへカラスが登場してヒヨドリが退散。それに続くカラスたちの食事風景は驚くべきものでした。がさつなヒヨドリの後だったからそう見えたのかもしれませんが、まるでナイフとフォークを使いこなしているかのように優雅な食べかたで、おなじ嫌われ者でも育ちがちがうと思ったものです。

カラスのように食事のマナーを心得ているような鳥は、テリトリー争いはあっても、仲間内でこづき合うようなことはしないもの。ヒヨドリたちにもそれぐらいの礼節があれば、木の実を独占したりしないで、この時期は木の実、この時期は青菜という風に分かち合って食べたんじゃないか。すくなくとも食事の内容が真っ二つに割れるという事態にはならなかったような気がするんですけどね。

ヒヨドリとおなじぐらい迷惑なイノシシも、この冬は活動的で、裏庭といわず、前庭から道路脇にいたるまで掘り返されています。さつま芋の高橋さんに、今年のイノシシはすごいねえ、といったら、いやあ、今年はイノシシがいないからどうしたんだろうと思ってたら、そっちのほうに行ってたんだねえ。

わが家は高橋さんのところから山ひとつ隔てたところにあります。今年は秋口から頻繁に出没していましたが、このごろでは昼間から庭先に出てくるようになり、お年寄りや子供の一人歩きが危険視されはじめていたところ。でも高橋さんによると、あいつらは食べるものがなくなったらいなくなるから、もうちょっとの辛抱、とのことでした。ヒヨドリもいっしょにどこかへ行ってくれるといいんですけどね。

今週の野菜とレシピ

今週は青山さんのキャベツが入ります。春キャベツのような柔らかさはありませんが、味が濃く、甘みがあります。煮こみ料理に最適ですが、生のままきざんでもおいしいですよ。

ほうれん草小松菜も甘みを増してきました。どちらもさっと湯がいたら、あたたかいうちにちりめんじゃこと混ぜ、油と塩ひとつまみを加えて食べてみてください。ほうれん草には胡麻油、小松菜にはグレープシードオイルがよく合います。

ひさびさのさつま芋はステイック状にして素揚げ。二度揚げしてぱらぱらと塩をふると、最高のおさつスナックになります。