秋の収穫

2014年10月第1週

今週の野菜セット

左から

お彼岸も過ぎて、すっかり秋らしくなりました。

人の背丈よりも大きくなったコスモスが満開で、その上を赤とんぼが群れています。このコスモス、道ばただけならいいのですが、畑といわず庭先といわず、ところかまわず出てくるので、小さいうちに処分しているのですが、どうしても見落としが出てしまう。それがいつの間にか大きくなって、こんなに見落としがあったのかというぐらい、夏の終わりには林のようになってしまいます。

しかし、花をつけはじめると刈り取るにはしのびなく、こうして赤とんぼが舞ったりすると風情があって、残っていてよかったなどと思うものです。ところが、花が終わってかたずける段になると、今度は後悔することになる。毎年、その繰り返しで、たぶん死ぬまでこれがつづくんだろうな、と思っています。人生って、こんな凡庸な感動と後悔の繰り返しのうちに終わってしまうのかもしれませんね。

日も短くなりました。ヒグラシが姿を消したので、なんの前触れもなく、どんどんあたりが暗くなります。毎夕、栗というか栗のイガを拾っていますが、ついさっきまで見えていたものが暗がりの中に溶けこんでしまいます。

できれば栗も拾いたいのですが、落ちているのはイガばかり。なぜかというとリスに先を越されてしまうからで、裏山にリスがいるのはわかっていましたが、隣家にクルミの木があるので、最近、家族で引っ越してきたみたいです。周囲の木がわさわさと揺れるたびに犬が落ち着かなくなるのですが、このごろではすっかり慣れたとみえ、いちいちリスのいる木の下にすっ飛んで行くこともなくなりました。

そして、うちのまわりは栗だらけ。べつに植えたわけではなく、山栗から屋敷栗まで、いろんな種類の栗が勝手に出てきて、こちらが気づいたときには大きくなっているのですが、それがつぎつぎに実を落とすから、まわりがイガだらけになるのです。それが犬の肉球に刺さっているとは知らず、レントゲンまで撮る騒ぎをしたことがあるので、毎な夕なに拾いまわっているというわけで。あの過剰防衛としか思えないようなイガイガには苦労しています。

栗が実を落としても知らん顔をしている人も、どこからともなく金木犀の香りが風に乗って漂いだしたら、とたんにそわそわと落ち着かなくなる。裏山にキノコが出はじめるからです。

放射性物質を吸収しやすい事情もあって、しばらくは鳴りをひそめていたキノコ狩りですが、このあたりではようやく数値もおさまってきたようで、またぞろお誘いがかかるようになりました。こちらはセシウムの数値以前に、毒のあるなしがわからないので、よく知っている人といっしょでないとキノコ採りができないのです。

日曜日の朝、近所のキノコ名人と連れだって、だれも知らないというキノコの穴場で一時間あまり。たったそれだけの間に、柿シメジと一本シメジ、それにアミタケとホウキタケが持参した籠だけでは足りず、ポリ袋に一杯ずつ収穫できました。こんな大量にキノコを採ったのははじめてのこと。鼻血が出そうなほど興奮しましたが、さて、このキノコの山をどうしてくれようか。

名人に教わった通り、これはぬるま湯で洗って塩漬け。これは細かくして乾燥。これはキノコご飯でこれはキノコ汁。これは湯がいて大根おろしと二杯酢で・・・。教わったとおり、ひととおりのキノコ料理を堪能しましたが、味も香りも山崎さんの舞茸に勝るものは、残念ながらありませんでした。ヤブ蚊だらけのところでマムシの心配をしながらキノコ狩りなどしなくても、こんなおいしいキノコがテに入る。しみじみありがたいことだと思いました。

今週の野菜とレシピ

今週はお待たせしていたさつま芋が入ります。初物はふかし芋にして、ひと足お先に味見をさせてもらっていますが、今年の芋もお味は上々。煮るなり焼くなり揚げるなり、お好きなようにしてください。

青山さんのどじょうインゲン。夏とちがって、ゆっくりと生育するので味が濃く、甘みも強くなっています。湯がいて塩をふっただけでもおいしいですよ。

舞茸は先週よりも増量されました。が、こちらのほうは予想外に生育が早く、今週いっぱい持つかどうかが危ぶまれています。最悪の場合、週の後半の方には代品が入るかもしれません。そうならなくても、収穫を遅らせる必要があるので、色が脱けて表皮が白っぽくなるかもしれません。色あせして見栄えがわるくなっても、味と香りには変わりがありませんので、ご安心ください。

舞茸は石づきもふくめて、ほとんど捨てるところがありません。水洗いはせず、やわらかいブラシか刷毛で汚れを落としてください。舞茸ご飯の場合にはできるだけ細かく裂いてから油炒め。醤油で濃いめに味をつけ、炊きたてのご飯に混ぜてから煎り胡麻をふってください。舞茸150グラムに対して、ご飯は2合ぐらいが適量だと思います。青菜のお吸いものといっしょにどうぞ。