ツバメの巣

2014年4月第3週

今週の野菜セット

左から

今年は夜間の気温が低いせいか、桜が長持ちしています。満開になってからかれこれ十日ちかくなるのに、まだ散る気配がありません。小学校の入学式も終わり、一学期がはじまっても桜並木は健在で、なんだか得をした気分です。

桜の淡い色合いに桃の濃厚なピンクが加わって、わが家の周囲も百花繚乱。山桜も開花しました。山桜はご存じのように花と葉が同時に出てきます。今は淡い色合いの花に、芽を出したばかりの葉の紅色が加わるので、ソメイヨシノよりもはるかにあでやか。この葉が緑色になって大きくなってくるころには、花も散ってしまいます。

裏庭ではコゴミや山ウドが地中から頭をのぞかせ、タラの芽も枯れ木のてっぺんでふくらみはじめています。道ばたにはワラビも出てきましたしね。先週の野草摘みが今週からは山菜摘みに変わりそうです。

ツバメのつがいも早々にやって来ました。おそらく去年とおなじカップルなんでしょう。夜になると、ガレージの梁に残っていた巣で二羽が仲良く寝ています。そこに車を置くと、うちの猫がなにをするかわからないので、またしばらくはガレージが使えなくなりますが、これもうれしい悩みです。

ただ、ひとつ気がかりなのは、一週間が過ぎても新しく巣を作る気配がないこと。どうやら手抜きをするみたいなのです。このカップルではありませんが、以前、南側の軒下で毎年営巣していたつがいがそれをやって、抱卵中に巣が落ちてしまったことがありました。当然、卵は全滅。それから大急ぎで巣作りをして、無事に二度目の卵を育てましたが、そんなことをするぐらいなら、はじめから新しい巣を作ったほうがいいと思うんですけどね。

いくら雨風の当たらないところにあるといっても、一年前の巣では老朽化が進んでいるはず。空き家になった巣は、さっさと取り除いてしまったほうが親切なのかもしれませんが、もう手遅れです。木工用ボンドかなにかで下支えをしてやりたいところですが、ヘタに手を出すのも考えものなので、はらはらしながら見守ることになりそうです。

冬の間、広々としていた畑がいつの間にか雑草のお花畑と化しています。こうなることがわかっていても耕耘機を入れられないのは、春先の強風に表土を奪われないためで、オオイヌノフグリの青い花を、ホトケノザの赤紫の花の合間にぺんぺん草や種つけ草が白い花を咲かせています。それをかたづけるのはひと仕事ですが、春先の雑草は畑に残った養分を吸い取って土壌のバランスを整えてくれるんですね。

中でもスギナは酸性にかたむきやすい畑の土を中性化する働きがあるので、生きた土壌改良材。これを目の敵にする農家が多く、わたしもかつてはそうでしたが、今では邪魔になるところだけ抜き取るようにしています。そうすると不思議なことに、あれだけ猛威をふるっていたスギナが少なくなって行くんです。pHが安定してくると自然に姿を消してしまうのか、こちらが有効性に気づいた途端、出し惜しみをするようになったのかわかりませんけどね。

ともあれ、春になったと浮かれている間に、農家が草取りに忙殺される季節が到来。田圃にも耕耘機が入るようになりました。まだ水は入っていませんが、雨が降るとカエルの声がにぎやかになります。それを聞いていると、わけもなく気持ちが豊かに、おだやかになってきます。この平穏がいつまでも続いてほしいものです。

今週の野菜とレシピ

好子さんのかぶはやわらかく、甘みも強いので、そのまま半分か四分の一にして、同量の味噌とマヨネーズを混ぜたソースで食べてみてください。かぶの葉には亜鉛という貴重なミネラルが含まれていますので、捨てずにスープか味噌汁にご利用ください。

コゴミはさっと湯がいて胡麻和えか辛子醤油で和えますが、てんぷらにしてもおいしいですよ。いっしょにニンジンの葉もかき揚げにしてはどうでしょう。竹輪を薄く切って、刻んだニンジン葉といっしょに揚げると、もちもちした不思議な食感になります。かき揚げを作るときは衣を最小限にするのがコツ。こんなにすくなくて大丈夫かしら、と思われるぐらいにしたほうがからっと揚がるのでお試しください。

コゴミが足りないときには山ウドが入ることになりますが、これもてんぷらでお召しあがりくださいね。


ツバメの巣では、もうヒナが孵っているようです。今朝、出がけによく見たら、巣の底部には新しい土でちゃんと補強もしてありました。

今、新しいつがいがガレージの中を物色しています。この契約が成立すれば、今年はにぎやかになりそうです。