花粉症

2015年2月第4週

今週の野菜セット

左から

陽光は日に日にまぶしくなりますが、寒さは頑として動きそうもありません。そんな感じの一週間でしたが、二月ももう終わり。そろそろ気温も温みはじめるのではないでしょうか。

それともすでに温んでいるのか。実感こそありませんが、このところ何度か雪が降っているにもかかわらず、途中で雨に変わったりしてほとんど積もることがないんですね。去年の大雪で、うちにあった雪かき用のシャベルが次から次と壊れてしまい、補充したくてもできない状況だったので、今年は早々と秋口から何種類も用意。念願だったスパイクつきの長靴も買って、用意万端。さあ来い、とばかりに構えていたのがいけなかったのかもしれません。高みからそれを見ていた雪雲が、あかんべーをしながら南下してしまったようです。

南岸低気圧などという耳慣れない言葉とともに、この冬はふだん雪などあまり降らないところから積雪の話題が届きました。これも気候の変動と関係があるんでしょうか。一昨年は弾丸低気圧で今年が南岸低気圧。来年はどんな低気圧が雪を運んでくるんでしょうね。

でも、今は雪よりも春の便りのほうが気になります。春の便りにもうれしいものとそうでないものがあって、早くも鼻がむずむずしはじめている人がいるようです。こんなに寒くても、もう花粉が飛びはじめているんですね。もっともピークはまだまだ先でしょうけど・・・。

忘れもしない、あれは息子が小学校に上がってはじめての参観日。だから四月下旬のことだったと思います。突然、窓外の校庭が真っ赤になったんです。突風とともにそれが勢いよく流されて、一分もしないうちに校庭はまた元通りの平穏を取り戻しましたが、今のはいったいなんだったんだ?まわりのお母さんたちはとくに騒いでいる風でもない。教壇のほうを向いたままです。もしかして目の錯覚だったんだろうか。

あれが小学校の脇にあった杉林から放たれたものだとわかったのは、それから数年後のことですから、当時は杉花粉もそれほど問題にはなってなかったようです。正体がわかったら、もう一度あの強烈なオレンジ色の嵐に遭遇してみたい。杉や檜の花粉がどのように舞い上がり、運ばれるのかじっくりと観察してみたいと思ったので、春先の学校行事にはこまめに参加していました。

が、二度とあの光景に出くわすことはありませんでした。もしそういうのも幸運というのであれば、あれは千載一遇。宝くじに当たるような大事件だったのかもしれませんが、それをぽかんと、ただただ呆気にとられて見送っていたというのが悔やまれてなりません。

でも、それに似た光景はテレビで見たことがあります。場所は沖縄の海。主役は珊瑚。時期的にもちかい五月から六月にかけての満月の夜、いっせいに産卵がはじまって、海中に無数の卵が放出されるんです。そんな光景も圧巻なら、それが最終的に海面を帯状に流れてゆく光景は、諸行無常の極みのように心に迫るものがあり、それがまた赤みを帯びているので春先の花粉を彷彿させるんですね。

一方は海中の動物で、もう一方は陸の植物。さらに一方は絶滅が危惧される貴重種で、もう一方はこれ以上ないほどの嫌われ者。その両者の営みがこんなにも似ているのは、いかなる自然の采配か。だいたい植物たちの生殖活動に、どうしてわたしたちがこうも過敏に反応しなければならないのか、考えたら妙な話です。さらに考えを進めると、珊瑚礁を絶滅に追いやるのも、なんの変哲もない花粉を有害物質に変えてしまったのも、犯人はわたしたち自身。それもわたしたちが特別に冒涜行為におよんだわけでなく、あたりまえの日々の暮らしの中から排泄されるものが害をなしてきたわけですから、いやになってしまいます。快適な生活の行き着く先は地獄なのかも。

スーパーやホームセンターに行くと、洗剤に柔軟剤、シャンプー、毛染め等々、所狭しと並んでいてあたかも大量破壊兵器を見る思い。かくいうわたしも、排水には細心の注意を払っていても、排気ガスをまき散らしながら動きまわっているわけです。今のところ、花粉症とは無縁ですが、そのうちにわたしのところにも巡り巡ってやって来るはず。そのときはお仲間と苦しみを共にしたいものです。

とはいっても意志薄弱なので、いざとなったら「びわ健」のお世話になるかもしれません。すでに症状のある方は、今ごろから飲みはじめてくださいね。

今週の野菜とレシピ

大根がだんだん小ぶりになって、もしかしたらこれが最後になるかもしれません。煮ものにするようなサイズではないので、短冊に切って、にんじんといっしょにきんぴらで・・・。唐辛子をぴりっと効かせてどうぞ。

十八番のきんぴらを大根に取られてしまったので、牛蒡はピーラーで薄く長く削ぎ切りにしててんぷらにしてみませんか。水溶き小麦粉にくぐらせて揚げると、スナック菓子のような食感になります。熱いうちに塩をふってください。

にんじんもおなじようにリボン状にして揚げたら、彩りがよく栄養のバランスもよさそう、と思われるかもしれませんが、にんじんはどういうわけか牛蒡のようにカリッとは仕上がりませんので、これは却下。何度か試してみましたが、何度やってもダメでした。

牛蒡を薄く削いでいくと、どうしても芯の部分が残ってしまいます。それはそれで包丁でスライスして、醤油をからめておいてください。牛蒡のひらひら揚げができるころには、こちらのほうもしんなりして食べごろの箸休めになっています。

すこし前から自然薯の予告が出ていますが、いっこうに出てくる気配がない。それは山芋を掘るのが重労働だからで、のみならず、地中であっちこっち好き勝手に曲がっているので、牛蒡のように簡単には掘り出せないという事情があるみたいです。もうしばらくお待ちください。