biwaken

2015年8月第1週

今週の野菜セット

左から

残暑お見舞い申しあげます。などというと、八月に入ったばかりでなにを・・・と思われそうですが、どうもこの暑さ、例年とは微妙に気配がちがうようなのです。

先月、八月まであと一週間もあるというときに、ツクツクボーシの第一声を聞いてびっくり。ツクツクボーシといえば八月も後半に入ったころ、夏休みが終わるぞ-、宿題済んだかーと騒ぎ立てる小うるさいヤツ。二十八日の日比谷公園でも、蝉時雨にそれが混じっていたのでした。

田圃のわきを歩くと、稲の花の香りでむせかえりそうになります。これも例年ならお盆ちかくなってからのこと。今年は穂が出てくるのが半月早い、と農家はいいます。暑い毎日が続いていますが、やっぱりこれ、残暑みたいですよ。

暑苦しいのですから、話題ぐらいスカッと爽やかに行きたかったのですが、すみません、そううまくは行きませんでした。会員のみなさんの中にもファンの多い「びわ健」の話です。

生駒屋の井上さんが「びわ健」を作りはじめて十年になりますが、この十年の間にビワを取り巻く状況がだいぶ変わってきたようです。当初はビワの種など利用する者もなく、ただの廃棄物。井上さんがまとまった量を得るために訪れた缶詰工場では、お金を払って捨てていたものを買ってもらえるというので、大いに歓迎されたそうです。ところがここ数年、ビワの種がガンに効くらしいというので、買い手が続々と出てくるようになりました。

それに加えてビワ農家の高齢化と後継者不足。猿による被害も年々増えているところへもってきて、今年は春先の低温の影響で平年の半分ぐらいしか収穫量がなかったそうです。ただの廃棄物だったものが年々高騰し、井上さんの登場を救世主のように喜んでいた工場でも百八十度態度が変わって、どこそこはキロいくら出すといっている、などと売り渋るようになったといいます。

もとはといえば井上さんの努力のおかげでビワ種が注目されるようになったのに、ヒトというのは悲しい生きもの。井上さんも自分がクローン病などという難病を克服したので、それに対する感謝としていろんな病気で悩んでいる人のお役に立てば・・・という気持ちから毎年、この時期になるとビワ種集めに奔走してきましたが、こういう掌を返すようなあざとさに遭うと、自分のやっていることがわからなくなる。そろそろ潮時かな、と思うこともあるそうです。

しかし、それではわたしたちが困るんです。ビワ種と銘打った商品はたしかにいろいろ出てはいますが、どれも熱を加えて乾燥させたものばかり。「びわ健」のように熱変性を避けるため、生のビワ種を凍結させてから気圧を下げる釜に入れ、水分を昇華させたようなものは出回ってないのですから・・・。たとえあったところで、途方もなく高額な商品になっているでしょう。

毎年、たいへんな思いをして材料をかき集めた上、それが人出にわたるとそこでまたいろいろ頭の痛い問題が出てきます。たとえば薬事法の兼ね合いとかね。いろいろご苦労されているようですが、できるかぎり続けていただきたいものです。わたしが罹った原因不明の湿疹も、西洋医学から漢方、友人が送ってくれた不思議な水まで、あれやこれや試してみましたが効果があったのは、結局わが家にあった常備薬「びわ健」だけでしたものね。

ありがとう。このひと言が井上さんの力の源であり、このひと言でどんな苦労もイヤな思いもわすれることができるそうです。みなさんもぜひ「ありがとう」を届けてあげてくださいね。

そして今回はその「びわ健」の価格変更のお知らせです。上記のような理由から、原料となるビワ種が年々高騰しているため、今年の分からは税込み価格で3024円になりました。

また、今年はビワが不作で平年の半量ぐらいしか採れなかった上、猿害もあったりしたので早期の品切れが避けられそうもありません。「びわ健」を必要とされる方には一年分、まとめてご注文くださるようお願いします。

今年の「びわ健」ができるのは十月に入ってから。それまで、去年の分は従来通りの価格でお届けしています。

今週の野菜とレシピ

青山さんのきゅうりが新しいものに変わりました。成りはじめのやわらかいきゅうりは丸かじりがおすすめ。ほんのり甘いきゅうりですよ。

ゴーヤのチャンプルー。最近はここらあたりのスーパーにも島豆腐が出回っていますが、値段が高い上、お味のほうもとくにおいしいとは思えない。沖縄にはもっとおいしい豆腐があるんだろうな、と思いながら使っていましたが、厚揚げを食べやすい大きさにスライスして使ってみたら、安上がりで島豆腐よりはるかに美味でした。肉は使わず、仕上がりに鰹節をたっぷりかけて醤油で調味。あっさり味のチャンプルーにしてどうぞ。