黄葉のスピード

2015年11月第3週

今週の野菜セット

左から

週末の雨で山々の紅葉がきれいになりました。色づきが遅れていましたが、さすがにこの時期になるとほとんどの木が衣替えをしています。それがしっとりと雨に濡れれば、まるで化粧でもしたように鮮やかになるんですね。

今年は紅葉のほうは今ひとつでしたが、イチョウの葉は燃えさかるような黄金色で、こちらは雨化粧などに頼らなくても輝いている感じ。銀杏も例年の倍ちかく採れたそうです。

イチョウは秋がほどよく深まったころ、ある日突然、意を決したように根元からてっぺんに向かって黄葉するそうです。まるでザーッという音でも立てそうなぐらい、見る見る葉の色を変えてゆくというのですが、それを見たという人に会ったことはありません。

一度そういうシーンに遭遇してみたいと思いながら、いつでも気がついたときには黄葉が終わっているので、些事に追われながらいたずらに歳を重ねているようで、この時期になるとちょっと落ち込みそうになるのですが、今回は燃えるような黄葉の勢いに元気づけられました。ほんとうにそんな猛スピードで変色するのか、疑わしくなってきたからです。

一度そういうシーンを見たいと思っているぐらいですから、ふだんからイチョウのことはそれとなく観察しているわけです。それなのに毎年、ふと気づいたときにはもう色が変わっているという、キツネかタヌキに化かされているかのような摩訶不思議。

謎が解けてみたら意外に単純なからくりで、あんまり単純すぎるから今まで気がつかなかったのかもしれません。たしかにイチョウは短時間で葉の色を変えるのかもしれませんが、色の仕上げは一発勝負ではなかったということです。はじめのうちは黄葉も青みを帯びでいるのでなかなか気づかない。真っ黄色になる手前あたりで、ようやくこちらが気づくのですが、それからもすこしずつ上塗りを重ねていたんですね。今年の黄葉が例年よりも濃厚で鮮やかだったからわかったことです。おかげですっきりした気分で冬支度ができそうです。

雨水受けの金魚たちの食欲がすさまじいのが冬支度なら、隣家とわが家の境界林でやたらと増えているリスたちが活動的なのも冬支度。それにくらべたら、食糧問題とは無縁の犬や猫というのは暢気なもんです。みずからが食糧にされてしまう動物も多いというのにね。もっともペットにしたって、飼い主しだいでは悲惨なことになるし、捨てられることもあるわけで・・・。世の中が殺伐としてくると、まずそういった無力なところから切り捨てられて行くからです。

このまま二極化が進めば、仲間の毛皮を着た犬猫などというグロテスクなものまで出てくるかも、しれないし、貧困層の子供から臓器を買って生き延びる子供だって出てくるでしょう。高齢者配って資産があればいいけれど、金もない、力もない、なんにもできないとなれば切り捨てられることまちがいなし。どうやらイチョウ問題が解決したぐらいじゃどうにもならんまいような厳冬が、わたしたちの目前には立ちはだかっているみたいです。

今のところは暖冬みたいで、どこの家でも丹精した干し柿が徹ぴたり、ハエにたかられながら酸っぱい匂いたてていたりで、お婆ちゃんたちをがっかりさせていますが、冬というのは寒すぎでは困るけど、,あたたかすぎてもいろいろ支障があるみたいです。作物を凍結させない程度の、弱者を絶望させない程度のほどほどの寒さがほしい、なんでいったら虫がよすぎるでしょうか。

今週の野菜とレシピ

パンパカパーンとキャベツが出てきました。この時節のキャベツといったやっぱり回鍋肉でしょうか。いやいやロールキャベツという手もありました。来週も入りますので、いろいろお楽しみいただけると思います。ブロッコリーのほうは秋口、虫にいじめられたため生育が遅れているそうです。

今回のじゃが芋は青山さんの畑から。先日、横畠さんの残されたご家族がじゃが芋作りを断念した経緯をお話しましたが、青山さんはそんな報告を受けなくても止めるのは時間の問題と思っていたそうです。そんなわけで去年から秋穫りのじゃが芋を作るようになったんだとか。こちらにもちゃんとそれが伝わっていたら、もっとありがたかったんですけどね。

サニーレタスのサラダ。レタスの歯ごたえが頼りないので、じゃが芋をスライスしてから細く切り、水にさらしてから揚げます。一度目は中火でじっくり。二度目に火をすこし強めてカリッとさせてからサラダに載せると、サニーレタスが急に元気になったみたいにおいしくなります。お試しください。