カラスの子育て

2015年7月第3週

今週の野菜セット

左から

立葵の花は入梅のころから咲きはじめます。下のほうから上に向かって、赤や白、ピンクの花が大人の背丈を超すような頂点を目指し、てっぺんまで来たら梅雨が明けるといわれています。まるで梅雨どきのお知らせ版のような花。ところがここ何年か、空梅雨が続いていたのでそんな役割などすっかり忘れられていましたが、今年はどんぴしゃり。先週末、花が頂点まで来たところでひさびさに太陽が顔を出し、いきなり真夏になりました。クラッとなりそうな高温多湿。でも、やっぱり夜間の温度は低いような気がします。

台風11号がどういう北上のしかたをするにせよ、去った後が気になります。夏になるのか、梅雨空がもどって来るのか・・・。野菜のためには夏空が望ましいのですが、こう暑いと梅雨寒がなつかしくなりますね。

最近、カラスの声がうるさいと思いませんか?カラスならいつもうるさい、といわれるかもしれませんが、これまでとは声がちがう。数もちがいます。

子ガラスが親について飛び回りはじめたからで、親ガラスの声が比較的澄み渡ったカアなら、子ガラスはガア、もしくはジャアと聞こえる濁音。真っ赤な口を開けてガアガアと親の後をついてまわります。この頃になると、もう子ガラスも自分でものが食べられるので、親鳥たちはけっこうそっけないというか、見て見ぬふりをしています。それでも子ガラスは甘えたいんでしょうね。並んだらどっちが親かわからないぐらい大きくなっているのに、しつこくつきまとっては怒られているようです。

先日、アラレちゃんが菓子パンを投げてやったら、そのひとつを親鳥が咥えて飛び去りました。残された子ガラスがどうするのか見ていたら、せっせと菓子パンを突いています。ああ、もうひとりで食べられるんだ、と思っていたら、そこに親がもどって来ます。すると子ガラスは慌てて食べるのを中断。のみならず、食べていたパンを足で蹴っ散らかして、ママーという感じでジャアジャア鳴きながら親にすり寄って行くのだそうです。

ママもそうは甘くありませんから、もう口うつしでパンはくれない。しかたなしに自分が蹴っ散らかしたパンのところにもどって行ったといいますが、この調子では親から追い出されないかぎり、子供は親元を離れないのかもしれませんね。

八月も半ばになると、男親が頭部をふくらませて子ガラスを追い回します。頭部の羽根を立てるのがどうやらカラスたちの怒りの表現らしく、ついこの間までやさしかったパパの豹変に子ガラスは戸惑いながら、ママに助けを求めますがママも知らん顔。そうやって否応なしに自立させられるみたいです。そうやって強引に自立させられた若い男女は群れをなして、半年あまりの共同生活の中で配偶者を見つけ、次の世代に命を繋げていくんですね。

野生動物の世界というのは、ほんとうによくできていると思います。この分で行くと、かれらには少子化などなにするものぞ。縁もゆかりもない話でしょうが、人間の少子化問題というのも、人間が野生から遠ざかってしまったからというより、わたしたちの無意識の奥深く眠っている野生のかけら。井戸の底の小さな石のような智恵の名残が、増えすぎた人口を制御しにかかっているように思われないでもありません。

人類のけっして明るいとは思えない未来から目をそむけ、カラスのホームドラマなんぞに興じていては、ほんとうはいけないんでしょうけどね。

今週の野菜とレシピ

今週は好子さんの枝豆が入りました。豆の両端を鋏で落として塩茹でしてください。鮮度が落ちると甘みも落ちてしまいますので、お早めにお召しあがりください。

トマトは二種、青山さんの「あいこ」と好子さんの中玉が入りますので、用途に合わせて使い分けてください。

きゅうりは先週までの長雨で一部に病気が入っています。もしかしたら今週いっぱいで姿を消すかもしれません。でも、8月中旬には次のきゅうりが育ってくるでしょう。ピーマンも毎回、期待だけさせておいてなかなか姿をみせませんが、今週のこの暑さで息を吹き返してくれそうです。