青いトカゲ

2015年7月第1週

今週の野菜セット

左から

梅雨空が続きます。気温はそれほどでもないけれど、湿度があるので蒸し暑い。ホタル狩りには最適の条件なのですが、今年の梅雨は日が暮れるととたんに気温が低くなるようです。そんなわけでホタルは群れ飛ぶどころか、ところどころ人魂のようにふわりと浮かび上がっては消えてゆくばかり。それはそれで幽玄ではあるんですけどね。

ホタル狩りに出かけるときはだれかがビールを飲んでおく、という冗談めいたルールがあります。それはだれかひとりが犠牲になって、ヤブ蚊やブヨを一身に集めてくれると周りが助かる、ということなのですが、それぐらいホタルが群れ飛ぶような夜には蚊も多いのです。が、このところの肌寒さ。蚊やブヨがいないかわりにホタルもいない殺風景は、なんとなく稲の不作を暗示しているような感じがします。

そんな気分を慰めてくれるのは、耳を聾せんばかりのカエルの声。作物を豊穣にするためには、虫もカエルもヘビもトカゲも、雑草も含めてまわりのものすべてが豊穣でなければならないんでしょう。選り好みをしない、ではなく、選り好みなど、しようにもできない世界だったんですね。

先週の通信に土中にいる青いトカゲのことを書いたところ、メタリック・ブルーのトカゲなんて日本にいるのですか、という質問をいただきました。います、といいきる自信もないのでネットで検索してみたら、いました、いました青いトカゲが、それも全国的にポピュラーなトカゲだったのです。

その名もニホントカゲ。最近になって東日本にいるのは、形態はおなじでも西日本にいるのとは別種で、ロシア沿海から極東にかけて生息する種と共通のDNAを持つことがわかり、ヒガシニホントカゲと呼ばれるようになったとのことでした。また尾がメタリック・ブルーなのは幼生で、成長すると茶と黒の縞模様になってしまうんだとか。今、畑や庭先の土中から飛び出してはわたしをびっくりさせているトカゲたちは、去年の夏に生まれた子供たちで、次の冬眠後、変色するんだそうです。

ただ、メスは成体になっても変色しない場合が多いらしく、そりゃそうでしょう、あんなきれいなメタリック・ブルーからおばさん臭い茶色になるのは、わたしがトカゲでもイヤですもんね。オスのほうはそんなものに未練を残さず、みんな茶と黒の縞模様になりますが、繁殖期には側頭部から喉、腹部にかけて赤みを帯びてくるそうで、これはこれでおしゃれだと思いました。

餌は昆虫類やミミズだそうで、ミミズはともかく、生まれたばかりのカマキリたちが一人前の戦士になる秋口まで、そろそろ目立ちはじめてきたコオロギやおんぶバッタの幼生をかれらが捕ってくれることになります。夏の畑に輝きを与えるばかりか、虫取りまでしてくれるというわけで、ありがたーいトカゲなのでありました。

田舎暮らしをしていると、虫やトカゲに囲まれて楽しそう、と思われるかもしれませんが、意外に寂しい思いをすることもあるんですよ。というのは町中にいたころはよく見られカナヘビやヤモリが、逆に山の中では見られなくなるからです。

いずれも虫を補食するので、テリトリーが重ならないよう配慮されているのかもしれませんが、トカゲとカナヘビの共存はむずかしくても、ヤモリは家につくものですから住むところがちがいます。温暖化が加速されれば、このあたりにもヤモリが進出してくるかもよ、と人からいわれ、一瞬、期待に胸をふくらませかけましたが、潔くあきらめることに・・・。選り好みはもちろん、ないものねだりも諸悪の根源なのですからね。

今週の野菜とレシピ

青山さんのプチトマトが仲間入り。野菜セットがカラフルに・・・といいたいところですが、これも収穫がはじまったばかりなので、今週はほんのお味見程度になりそうです。

ズッキーニが続いていますが、玉葱といっしょに味噌汁にしたり、輪切りにして小麦粉、溶き卵、パン粉で衣をつけ、とんかつや海老フライのつけ合わせにしてもあっさりと美味。大きめのものは半割にしてから薄くスライスし、ニンニクといっしょにオリーブ油で炒め、塩、胡椒、オイスターソース少々で調味しておくと、冷めてもサラダ感覚で召しあがれます。

来週はピーマンが加わりそうです。