沈黙の春?

2015年4月第4週

今週の野菜セット

左から

寒のもどりからひとっ飛びに初夏の陽気になりました。気温の変化もさることながら、天気の気まぐれにも振り回されますね。春に三日の天気なし、とはよくいったものですが、最近はそれが日替わりになったみたいです。

一枚、また一枚と田圃にも水が入りはじめました。巨大な鏡面と化した田圃は、陽光の下ではそれを鋭く反射し、曇り空の下ではさざ波を立てながら周囲の景色を歪ませています。その周囲を畦のたんぽぽが飾りたて、早くも綿毛を飛ばしはじめています。

春になってしまえば早いものです。地表はまたたく間に草に覆われ、畑地も庭先もおかまいなしに背丈を伸ばして花をつけ、油断も隙もない素早さで種をまき散らしにかかっています。こちらが山菜に気をとられている隙に、食べられる心配のない草たちがのうのうと繁殖しているのです。多勢に無勢のむなしさを感じつつ、それでも抵抗しないわけには行かない。今年も草刈り・草むしりに追われる季節になりました。

しかし、日中は初夏のような気温になっても、夜間の気温が上がらないせいか、田圃に水が入ったというのにカエルの声が聞こえません。例年なら日が暮れると、あたり一帯、耳を聾せんばかりになるんですけどね。小鳥の声はにぎやかですが、こういうのも「沈黙の春」になるんでしょうか。

カエルがしんとしているものだから、ヘビも動けない。これも例年なら、水を張った田圃を堂々とSの字を描きながら泳いでいるところです。そういえばこの春はまだ一度も姿を見ていません。

波乱含みの春の後にはどんな夏が到来するのか。すみません。今週は時間がないので、このあたりで失礼します。

今週の野菜とレシピ

今週は山うどこごみが入りました。山菜のてんぷらは天つゆに浸すより、ぱらぱらと塩をふったほうが特有の香りや食感が損なわれません。玉葱と三つ葉も合わせてかき揚げにすると美味。ただし、こちらのほうは天つゆがあったほうがいいかもしれませんね。

わが家ではついこの間まで、毎日のようにあぶら菜のスープ、今はかぶのスープにはまっています。スープといっても特別な出汁を用意するわけではありません。味噌汁同様、半日ほと鰹節を水に浸け、ゆっくりと加熱しながら取った濃いめの出汁を用意。5ミリ前後にスライスしたかぶに火が通ったら、塩とオイスターソース少々で調味。茎と葉の部分を加えて、もうひと煮立ちしたらできあがり。

あぶら菜も入りますから、ほろ苦いあぶら菜スープとやさしい甘さのかぶスープ、食べくらべてみてください。

今週は愛媛の新玉葱が入る予定になっていますが、四国は雨続きで今週に入っても大雨に祟られています。そんなわけで予定通りには入荷できなくなりそうです。在庫がなくなりしだい、代品に代えさせていただくことになるかもしれませんが、その際はお許しください。


野菜たっぷりセットの方にはかつお菜が入ります。北九州ではお雑煮に欠かせない青菜だそうですが、高菜の仲間ですから漬けものにしない手はありません。ざくざく切って一夜漬け、といいたいところですが、せめて二・三日は重しをして、十分に発酵させてからお召しあがりください。