栗ご飯

2015年9月第2週

今週の野菜セット

左から

虫の声がにぎやかになってきました。夕暮れがすこしずつ早くなって、いつの間にかヒグラシの羽音がしなくなったと思ったら、ちらほらと秋の虫。それがしだいに大編成になりつつあります。どこから入りこんだのか、箪笥や冷蔵庫の隅からもリーリーコロコロと羽音がしています。

それに促されたかのように裏庭の栗が落ちはじめると、実りの秋のはじまりはじまり。栗を拾ったその足で、裏山にカヤの実を取りに行き、袋いっぱい背負ってきた実から種を出し、重曹を入れた水にさらしてアクを抜きます。その作業中、松ヤニのようなもので手指がべとつきますが、それがなんともいい香りで、食べではおいしいけど、臭いの強烈な銀杏の処理とは大ちがい。

こういう作業がはじまると、季節も人の意識も大きくカーブを切りながら冬へと向かいはじめるみたいです。裏山はイノシシの住処でもあるのですが、そういうものがあるおかげで、四季の巡りが体感できるんでしょうね。

紫蘇畑が一面、小さな白い花に覆われるのもこのころで、木の実の作業が一段落するころには花が実になり、今度は指先を黒く染めながら穂先から実をしごき落とすことになります。これに新生姜や青唐辛子を加え、醤油漬けにすると、みなさんご存じ「益子キャビア」のできあがり。毎年、バケツに何杯も作って、お世話になった方々に届けていますが、わたしは根っから単純作業向きにできているのか、こういうことをしているとつくづく仕合わせだなあ、ありがたいことなのだなあと思います。

もちろん、普段から思ってはいるんですよ。毎日、食べたいときに食べたいものが食べられて、お風自にも毎晩入れる。そのうえ何時間でも犬といっしょに歩いていられるのですから、これ以上の仕合わせはないといっても過言ではありません。そんな当たり前みたいな仕合わせが、災害でも起こればあっけなく崩れ去ってしまうのは、東日本大震災でみんなが経験済み。当然、人災でもおなじことが起こるのですが、そちらのほうが天災より始末がわるいのも東電事故で経験済みです。

そんな人災の最たるものが戦争ですからね。戦争状態に突入するということは、統治者の無能が証明されることでもあるのですが、被害を被るのはそんな老いぼれどもでもなく、わたしたち庶民です。中でも生存すら脅かされるのがペットも含めた弱者というのが、すべての災害に共通することでもあるのですが、悲しい現実なんですね。地震だ、火山噴火だと、ただでさえ自然災害の多いところに住んでいるのですから、自衛隊だって戦争なんかしている暇はないと思うんですけど、売国奴たちは本気でこの国を合衆国の属州にするつもりなのかも・・・。今起こっていることは、アメリカが自国の軍隊を支えきれなくなったので、新しい属州から人材と税収を徴収するということなんでしょ。

日本が攻撃を受けたとき、アメリカの軍隊がそれを排除するとしいう安全保障条約、あれはいったいなんだったんでしょうね。ただ単に、圏内にある米軍基地を正当化するものにすぎなかったんでしょうか。もしも今回の安保法案が可決されるような事態になったらわたしたちも合衆国の一地方に居住する者ととして、大統領選に参加させてもらえるんでしょうか。んなわけないか。

すみません。食欲の秋にちなんだ話題で、ひさびさにほっこりした気分にして差し上げたかったのですが、どうしても意識がきな臭いほうへと行ってしまいます。せっかく作りはじめた栗ご飯がお焦げになってしまったような気分ですが、ご飯はしかたがないにしても、この国はなにがあってもお焦げにはしたくないもの。臨時国会の会期が終わる9月27日まで残りわずか。アベが必死ならこっちも必死で廃案にこぎ着けなくっちゃね。

今週の野菜とレシピ

今週は青山さんの枝豆が入りました。この夏は好子さんの枝豆が不調で、一部の人にしかお送りできなかったのですが、これで野菜セットの名誉挽回となりますか。

いんげんはモロッコいんげんという品種で、ふつうのいんげんよりも甘みがあります。塩茹でして胡麻和えやサラダでどうぞ。

モロヘイアピーマンは今週あたりが最終便。きゅうりも先週、気温が上がったおかげで生き延びましたが、どうなりますか。ふたたび気温が低くなれば姿を消してしまいそうです。

酷暑に長雨に急激な気温の上下。そんなこんなで巷では野菜が高騰しているようですが、当方ではいつも通り、場合によっては原価を下げて出荷してもらっています。好子さんも青山さんも、畑に野菜を残しておいてもしょうがないし、こういうときだからよけいにたっぷり野菜を食べてほしい、といってくれるからです。わたしたちもいっしょになって、ありがたくいただいています。

それから青山さんの畑に残っていたゴーヤ。もったいないので入れさせていただくかもしれません。ありがた迷惑かもしれませんが、使ってあげてくださいね。