自然界のフロントライン

2015年5月第4週

今週の野菜セット

左から

朝夕は肌寒いぐらいですが、日中はからりとした暑さ。木陰に入ると途端に暑さがやわらぎ、そこに風でも吹けばいうことなしの爽快さ。先週は湿度が低かったせいか、おなじみのムシムシ、ベトベト、ダラダラといった日本の夏から逃げ出して、どこか保養地にでもいるような気分でした。

今週もそんな気分で過ごせるといいんですけど、ちょっと甘いかな。でも、益子GEFの独断と偏見に満ちた見解によりますと、今年は冷夏。なぜかというとタケノコが前代未聞の不作だったからで、十五年ぐらい前、やはりタケノコが不作で米も不作。タイ米やカルフォルニア米を緊急輸入したときよりも、さらにひどい状況だったからです。冷害、といっても栃木県はそんな年でもほどほどに暑くなり、ほどほどに収穫もできるのですが、問題はそれより北の米どころ。

蒸し暑いのもかないませんが、冷夏は冷夏で困ったものです。この予想、外れてくれたほうがいいに決まっているのですが、気象予報士の資格もないくせいに、プライドだけはあるものですから、当たってほしい気がしないでもない。自分でも困ったものだと思いますが、もしも気象庁が「冷夏」などといいだしたら、そのときはまちがいなしに暑い暑い夏がやって来ますよね。

畑にも夏草が出てくるようになりました。春先に畑を覆い尽くさんばかりに広がる草は、畑に残った余分な肥料を吸収し、土壌をニュートラルな状態にしてくれるのですが、夏草はこれから野菜が必要とする栄養分を横取りするこまった存在。しかも春草のように簡単には抜けず、抜けたところで放っておくとまたそこから頭をもたげるぐらい逞しいから困ります。

そんな夏草の中でも、アカザや月見草などはところどころ残しておくと、野菜の身代わりに虫をたからせてくれるので、なんの世界でもそうですが、百パーセントの悪というのはないんですね。わたしが目の敵にしているスベリヒユだって、東南アジアへ行けば立派な野菜で、母の話によると戦時中はスベリヒユやサツマイモの茎を使って調理実習をしていたそうです。ちなみにセイダカアワダチソウなども虎の尾と名前を変えて、活け花の素材になってたんだって。

一週間も放っておいたらとてつもなく大きくなってしまう夏草も、芽のうちにかき混ぜてしまえば手間いらず。でもまた一週間もすると、またおなじようなのが発芽してきますから、またかき回す。土の中にはいったいどれだけの種子が混じっているのか、それとも土は半分ぐらい種でできてるんじゃないかとおもわれるぐらい、次から次から青いものが出て、その粒々が地面を覆いつくします。まるで悪夢のようですが、見方を変えれば、こうして無限に雑草類が出てくるからこそ、わたしたちも遠慮会釈なく引っこ抜いたりかき混ぜたりできるわけです。小さな雑草ばかりでなく、ちょっと油断をすればススキが根を張る、クズの蔓がそこら中を這い回る、畑だろうと庭先だろうとお構いなしに篠竹はつんつん出てきます。そしてかれらは隙あらば、人工的な空間を元の自然にもどそうとする。実際、篠竹がアスファルトの道に亀裂を入れたりするのです。わたしたちにとってはうっとうしい存在でも、自然界から見れば最前線に立つ兵士みたいなものでしょう。

だから、そういう還元力があるおかげで、わたしたちは安心して自然破壊ができるということもできるわけです。農業だって自然破壊だし、すてきなお家を建ててイングリッシュガーデンを造るのだって自然破壊にほかならない。いっそコンクリートジャングルみたいなところに住んでいれば、自然なんて絵空事みたいになってしまって、なにを作ろうが自由なんでしょうが、すぐそこまで自然界の先兵が迫っている土地で、狭められた自然界から溢れだしそうになっている鳥獣と折り合いながら暮らしていると、ゴミひとつ捨てるのだって怖くなることがある・・・。

でも、こっちだって生きて行かなくてはなりませんからね。ときに強気にコノヤロー、コノヤローと草木と闘い、イノシシを追い、ときにおのれの一族の罪深さにおののきながら、でも大半は脳天気に暮らしている。なぜなら、わたしたちがどんなに傲慢で、自然や環境に負荷をかけていても、戦争や核実験のそれにくらべたらかわいいもんでしょうからね。だから今、自分が享受しているものとひきかえに押しつけている負担を償うためにも、この国には戦争をさせてはならないのだと思います。

今週の野菜とレシピ

今週は好子さんのレタスが出てきました。さっぱりしていて、ご飯のおかずにもなるのがレタスと海苔のサラダ。レタスはよく水切りをして、適当な大きさに手でちぎりながらサラダボウルに入れ、レタス1個に対して海苔は3~4帖。ガスコンロの火ですばやく炙って、ボウルの上でもみほぐします。その上からポン酢をまわしかけ、油を少々たらしたらできあがり。油が亜麻仁油が理想的ですが、なければグレープシードオイルのようなクセのないものをお使いください。

絹さやはすこしかたくなっているかもしれません。卵とじにするときは出汁で煮てから、炒める場合もいったん塩茹でしてからお使いください。

季節の別注品のお知らせ

*らっきょうと青梅は6月上旬から中旬にかけて・・・。

実山椒はうっかりしていたので、すぐにでも送れる状態になっています。

*事務所が留守になっていましたら、留守番電話にご用件を入れ、お名前も 忘れずに入れておいてください。後ほどこちらからお電話さしあげるようにしています。