カマキリの危機

2015年9月第1週

今週の野菜セット

左から

今年の夏は短い、と思ってはいましたが、こんなに急に寒くなるとはね。冷や奴にするつもりで冷蔵庫に入れていた豆腐を、急遽湯豆腐に変更。八月に湯豆腐を食べたことなんて、これまでの人生にあったかなあ、なんて思っていたら、あっちでもこっちでもコンビニの駐車場には「おでん」の幟。コンビニでも八月中におでんを売るなんて、はじめてのことなんじゃないでしょうか。

現金なもので、わたしの寝床もとたんに狭くなりました。今まで寄りつきもしなかった犬と猫がどっかり腰を据えているからで、こちらは隙間にしか身体を伸ばせないものですから、寝返りもままなりません。まあ、あたたかくはあるんですけどね。アラレちゃんのところでは、うかつに寝返りを打ったりすると、性格のきつい猫に思いっきり噛みつかれるんだそうです。不自然な姿勢で腰を痛めるか、ふくらはぎから血を流すか。それにくらべたら、わが家は天国なのかもしれませんが、うれしさ半分、迷惑半分の秋の到来です。

この調子で行くと、冬の到来も前倒しになりそうなので、早々に冬野菜の準備をしたいところですが、雨続きでなかなかはかどらないみたいです。でも、逆にこの雨のおかげで、おでんに欠かせない大根などは例年より収穫が早まるかもしれません。例年、この時期は雨がなく、あっても夕立のような強い雨で種が流されたりして、なかなか発芽できないからです。

また、冷たい雨のおかげで昆虫類が羽化しにくく、コオロギやバッタも生育が押さえられるんじゃないか、なんて期待していますが、ちょっと甘いかな。コオロギがすくない代わり、カマキリの姿も今年はなかなか見当たらないのが不安です。うちの近所にいるアメリカ人に、今年はカマキリがすくない、とぼやいたら、なに贅沢いってるんだ。アメリカじゃ、だいぶ前からカマキリなんて絶滅危惧種になってるんだぞ、と返されました。

カマキリを絶滅危惧種にまで追いやっといて威張ってんじゃないよ、と思いましたが、ご近所なのでにっこり笑って、ああ、そうだったんだ。お国のほうじゃ農薬も除草剤も使い方が半端じゃないでしょうからね、といったら、そう、飛行機使うからね、あれがいけない。

しかもアメリカでは、ヨーロッパで使用禁止になったネオニコチネイドを平然と使い続けています。あちこちでミツバチの大量死をもたらした農薬は、当然カマキリとも無関係ではないはずです。このネオニコチノイドというのは昆虫の神経中枢に働きかけ、重要な神経伝達物質を攪乱して死に至らしめてしまうのですから、そういう昆虫を捕食するカマキリにも影響を与えないはずがないんですね。

開発された当初はニコチンみたいなもので、人体にはなんの影響もない夢の農薬といわれていましたが、昆虫もヒトも神経系の基本はおなじです。いってみれば昆虫は気がふれて、正常な活動ができなくなって死ぬのですから、それが人体というか、わたしたちの脳にも同様に作用することを考えたら恐ろしくなります。そのうえ水溶性で残留しやすいとなればふつうなら使用を禁止したくなるものですが、欧米人には有害でも日本人に害があるとはかぎらない、という理由にもならない理由で使用量も摂取量も、つい最近緩和されたところというから呆れます。

この調子だとカマキリが絶滅危惧種になるのも、そう遠い将来のことではなさそうです。そして、わたしたちの子孫もまた・・・。子供の脳に与える影響を考えたら、じっとなどしていられないはずなんですけどね。農水省がそんな調子ですから、トランス脂肪酸に関する厚生労働省の対応も同様で、要するに放ったらかし。少子化だ、人口減少だと騒いでいますが、ほんとうのところはどうでもいいのかもしれません。だから火山がぶち切れたり、大地が揺れたりするのかもしれませんね。

今週の野菜とレシピ

晴れればいくらか暑さがもどってくるんでしょうが、急に気温が低くなったので茄子きゅうりも生育が止まってしまいました。とくにきゅうりが大きくなれないみたいで、最悪の場合、きゅうりの代わりにかぼちゃが入るかもしれませんがお許しください。

うれしいのは小松菜ですね。秋風が立つと、青菜の味噌汁が恋しくなるもの。里芋の煮っ転がしに小松菜と油揚げの味噌汁で、この間までの猛暑に疲れた身体を癒やしてください。

落花生は塩茹でに・・・。海水ぐらいの塩加減で茹でたらそのまま冷まし、十分に塩味がしみこんだところでお召しあがりください。