鯖とカボチャ

2015年12月第3週

今週の野菜セット

左から

ようやく冬めいてきたと思ったら、台風並みの雨と風。わが家でもオンポロ物置小屋の屋根からトタンが一枚、脱走して隣家に侵入しました。いっしょになって転がって行ったバケツも、ひっくり返った植木鉢も、台風並みというのがわかっていればそれなりの対応をしていたはずですが、師走に雪ならともかく、暴風雨というのは前代未開ですものね。これからはこういう前代未聞があたりまえになるのかもしれません。

スーパーの売り場に並んでいる魚が、年々小ぶりになっていくのも、こういう気象変動と無関係ではないんだとか。多くの漁船が底引き網を使っているという物理的な要因も大きいのでしょうが、温暖化のせいで海中の酸素量がすくなくなるため、魚類の生育が抑えられ、小型化するんだそうです。乱獲に加えて気候の変化で、三十年後にはほとんどの海洋生物が絶滅するという見方もあるぐらいです。

魚がちいさくなっていくのに、値段は高くなるばかり。以前ならこの時期になると、待ってましたとばかりにしめ鯖作りをしたものですが、十年ぐらい前から脂ののった大ぷりの真鯖が手に入らなくなり、ここへ来て鯖味噌にするようなサイズですら、たまにお目にかからなくなってしまいました。そりゃあ金に糸目をつけなければ、入手することも可能なんでしょうけどね。大手の締寿司メーカーもほとんどノルウェー産のものを使っているようですから、海水温の上昇も大いに関係がありそうです。

これだけ資源の枯渇が深刻になっているときに、ヨーロッパではとんでもないことが行われているんですよ。ご存じのようにEUでは漁獲量が厳しく制限され、違反した漁船民は罰金まで課せられることになっています。これは友人の手紙で知ったことですが、実態はどうかというと、操業の仕方はあいかわらずで捕れるだけ捕りまくる。底引き網なんか使っていたら、制限のしようもないのかもしれませんが、港の直前まで来たところで捕りすぎた魚を捨てることで数字あわせをするというんですね。多くの漁船がそれをやるから、海岸には大量の死魚が打ち上げられ、すさまじい様相を呈しているんだとか。不法操業よりもタチのわるい犯罪行為だと思いませんか?

食糧資源の保護ですら、これだけ臭気芬々たる偽善が行われているのですから、二酸化炭素削減といったところで、どこまで実効性のある対策がとられるかわかったものではありません。これもまた数字合わせのゲームに堕することがないよう、しっかりと監視するシステム作りが欠かせないかも・・・。昨今は国の内外を問わず、かつてないほどモラルが低下していますからね。

話は変わって、野菜セットの蓋を開けると見慣れない異物が入っていますが、びっくりしないでくださいね。これが以前お話したバターナッツかぼちゃもどき。大きすぎるので半割にしてあります。ありがた迷惑かもしれませんが、利用してやってください。

正直いってあまりおいしいものではありませんが、来週二十二日は冬至です。味に自信の持てないかぼちゃはスープがおすすめ。スライスした玉葱をバターで妙め、半透明になったら皮をつけたままサイコロに切ったカボチャを入れ、ひたひたよりすこし多めに水を入れ、やわらかくなるまで煮ます。粗熱が取れたらそれをミキサーに入れ、牛乳を加えて攪拌したら鍋にもどして塩、胡椒、オイスターソース少々で調味。あれば生クリームをたらしてお召しあがりください。

今週の野菜とレシピ

今週は好子さんの白菜が入ります。鏑ものといったら椎茸ですから、なんとしても山崎さんの原木椎茸がほしかったのですが、ここへきて急に冷えこむようになったため望めませんでした。畑にもほとんど毎朝のように霜が下りていますから、白菜は前回より甘くなっていると思います。

鏑もので残った白菜はスープにして使いきってしまいましょう。生菱ひとかけをみじん切りにして油で妙め、ベーコンか豚パラ肉もひと口大にして加え、色が変わったらザク切りにした白菜を芯のほうから入れ、炒めるというより全体をなじませる感じで・・・。ひたひたよりすこし多めに水を入れ、白菜がやわらかくなったところで塩、胡椒、オイスターソースで味をととのえ、仕上げに胡麻油少々をたらします。翌日まで残った分は春雨を加えたり、カタクリ粉でとろみをつけるなど、目先を変えてお楽しみくださいね。

ほうれん草が二種。食べくらべをするか、仲良くいっしょに同居させるか。ざくざく切ったほうれん草を鍋に入れ、しゃぶしゃぶ用の豚肉とミルフィーユ状に重ねたら水はほんの少量加えるだけで蒸し煮にし、あつあつをポン酢でいただくという手もあります。わが家では一時期流行ったタジン鍋をひっぱり出して使っています。