大雨一過

2015年9月第3週

今週の野菜セット

左から

台風18号と17号にはさまれた低気圧が大雨を降らせました。大事をとって10日は出荷を見合わせましたが、さいわい午前中に雨が上がってくれたので難なきを得ることができました。あれがあと数時間続いていたら、小貝川や五行川が氾濫。鬼怒川も茨城県に入る前に溢れ出していたかもしれません。

30年とすこし前、やっぱり台風に刺激された低気圧が大雨を降らせたことがあり、あのときは小貝川を跨ぐ橋がすべて通れなくなり、益子が陸の孤島になってしまったのでした。50年に一度の大雨というので、それを思い出、してまちがっても浸水することのない山の上にとどまったのですが、大事に至らずに済んだしだい。30年前には、この事務所のあたりも床上浸水していたといいますから、危ないところだったようです。

たくさんの方からメールやお電話をいただきました。いつもこちらが心配するばかりの四国の野口さんからも、そっち、えらいことになりよるけど大丈夫かいな、と電話をいただいたときには、あまりの平穏さに申しわけないような気分でした。会員のみなさんからもご心配いただき、恐縮半分うれしさ半分、残りが全部ありがたさです。

地震からも風水害からもたいした被害を受けずにいられるのは、みなさんがこうして心にかけてくれているからではないか。それは会員の方々がお住まいの地域に被害が出たときにも、不思議とみなさんがご無事なのとおなじことかもしれません。こんなことをいうと笑われるかもしれませんが、案外わたしたちが口にしている野菜のせいもあるのかもしれませんね。

台風一過とはいえ、抜けるような紺碧の空は望めないみたいです。横倒しになった稲が水に浸かって発芽してしまわないうちに、農家はさっさと刈り取ってしまいたいのに、濡れたままではコンパインも思うように動いてはくれません。とはいっても、水没したり泥に埋もれた田圃のことを考えたら、贅沢はいってられないのでしょうが・・・。

それでも束の間の晴れ間には狂ったようにツクツクボーシが騒ぎ立て、たちまち曇り空になると、どこからともなくコオロギの羽音が聞こえてくるといった具合で、気温も小刻みに上下しています。季節感がなくなりそうな感じですが、いやいや季節はちゃんと動いているみたいです。出がけに近所の師匠から電話が入って、おーい、茸採りに行くぞ。

仕事があるんですけど、なんていっても、茸は待ってはくれませんからね。師匠について山に入ってきました。例年より半月以上早い茸狩りです。ところが師匠が毎年案内してくれる穴場では、今年はなにも収穫できず、急斜面をどんどん下りて谷底近くまで下りたところで、ようやく柿シメジとホウキタケを発見。あとは彩り程度に紫シメジとタマゴタケを採ってきたしだいです。

穴場が不調だったのは、おそらく梅雨入り前に高温が続いたことが原因で、その後の梅雨寒を秋の到来と勘違いして多くの茸が出てしまったせいではないか、というのがもうひとりの茸名人・青山さんの見解でした。ともあれ季節が前倒しになっているのは確かなようで、野菜セットにも来週、早々に舞茸が入りそうです。

今週の野菜とレシピ

先週に引き続き、青山さんの枝豆が入りますが、旨味も甘みも濃厚な枝豆です。先週、塩茹でしてから味見をしていたら、味見どころか、またたく間に半分以上食べてしまい、家族関係にひびが入りそうになりましたから、くれぐれもご用心。味見は禁物です。

新生姜が出てくるとかならず一度は作るのが、ワカメのお浸し(?)で、水でもどしたワカメに適当に包丁を入れ、皿に盛ったところに、スライスした生姜をできるだけ細かく千六本に切って載せ、醤油をまわしかけるという料理とはいえないような料理ですが、生委の香りと生ワカメの組み合わせが、解剖台の上のミシンと蝙蝠傘の出会いよりも斬新です。ご飯にとてもよく合います。先週の大雨で小ぶりの小松菜が泥に埋まってしまったため、今種を蒔いている分が育つまで、しばらくお待ちください。きゅうりはほぼ全滅。茄子も風に煽られて傷になっていますが、申しわけありません、中身のほうは大丈夫だと思います。

小松菜はダメになりましたが、間引き大根が入りました。これは大根と葉を分けて湯がき、お浸しにしてどうぞ。亜麻仁油かエゴマ油をたらしてから、鰹節と醤油で食べると美味。

蚊の大群の中に分け入って、青山さんが採ってきてくれた秋ミョウガ。焼き茄子におろし生姜といっしょにたっぷり載せてくださいね。高橋さんのさつま芋は掘りたてなので、しばらく裸のまま転がして、水分を抜いたほうが甘みが出ておいしくなります。